著者
貴島 文緒 高野 研一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.17-38, 2020-06-15 (Released:2020-07-03)
参考文献数
41
被引用文献数
2

本研究の目的は若手ITエンジニアの転職希望意識の形成プロセスをモデル化することに加え,中堅ITエンジニアとの転職意識の比較検討を行い,若手に特有の要因を導き出すことである.このため,若手・中堅ITエンジニアを対象とした延べ600人のインターネットアンケートを実施した.得られた回答に多変量統計分析を適用した結果,若手は「仕事に対する価値観を確立すること」によって「自分の仕事を天職として捉える」ことができ,結果として転職希望意識の低減につながることが示唆された.また上司から与えられるポジティブなフィードバックも自分の仕事を天職として捉える傾向に有意に良好な影響を及ぼすことも併せて示唆された.一方,中堅の場合はこの傾向が当てはまらず,「キャリア確立の可能性を見いだすこと」によって,転職希望意識を抑えられることが可能となり,この傾向は自らの技能(スキル)の向上によって高められることがわかった.
著者
貴島 文緒
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.263-266, 2019-12-25 (Released:2019-12-23)

本研究の目的はITエンジニアの転職希望意識が形成されるまでのプロセスを分析し,仕事にやりがいを感じながら組織への定着を促す要因を特定することである.ITエンジニア特有の要因を導出するため,インターネットアンケートをITエンジニア500名と経理,総務,人事職に就く500名と対象に実施し,対比を行なった.結果として,ITエンジニアと人事職の転職希望意識形成プロセスは類似していること,ITエンジニアと経理・総務には「生活と仕事のバランスへの重視」に差があることが分かった.