著者
鳥谷 洋右 遠藤 昌樹 赤坂 理三郎 梁井 俊一 川崎 啓祐 中村 昌太郎 永塚 真 上杉 憲幸 菅井 有 松本 主之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.612-620, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・SNADETsの診断では,粘液形質を背景とした胃型・腸型腫瘍に大別されることを熟知しておく.・通常観察では,脂肪粒を反映した“絨毛の白色化”を観察することで腺腫・早期癌,特に腸型腫瘍を拾い上げることが可能である.・白色絨毛陽性病変では,腫瘍径,色調,肉眼型,結節の有無,易出血性,絨毛の白色化の分布を観察する.・白色絨毛陰性の十二指腸球部病変は胃型腫瘍を念頭に置いて観察を行う.・M-NBI,M-CVを用いたoptical biopsyが望ましいが,拡大内視鏡所見と組織学的異型度や粘液形質の乖離に留意する.・内視鏡治療を前提とする場合は,安易な生検を避ける.
著者
赤坂 理三郎 松本 主之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.629, 2017-05-24

定義 大腸の正常粘膜表面には腸管短軸方向にほぼ平行して走る無数の微細な溝があり,無名溝と呼ばれる.無名溝には時に交叉し,これによって囲まれるやや細長い“小区”があり,微細網目構造となっている.これは網目像(fine network pattern ; FNP)と呼ばれる.病変部分ではこの構造が消失し,組織学的な病変部分と一致している. FNPは1965年にWilliams1)により“innominate grooves”として報告された.その後,1971年に狩谷,西澤ら2)は“innominate grooves”から形成される大腸粘膜の微細な模様を“網目像(FNP)”と名付けた.このFNPはX線造影像で再現可能な最小単位であり,大腸二重造影像の基本像となる(Fig. 1).