- 著者
-
梁井 俊一
菅井 有
松本 主之
- 出版者
- 日本大腸肛門病学会
- 雑誌
- 日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
- 巻号頁・発行日
- vol.74, no.10, pp.599-605, 2021 (Released:2021-11-29)
- 参考文献数
- 63
免疫チェックポイント阻害薬(immune-checkpoint inhibitors:ICI)が悪性腫瘍の標準治療となるに伴い,免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)が注目されている.全身諸臓器の中で,消化管はirAEの好発部位であり,なかでも大腸が最も高率である.ICI関連大腸炎の内視鏡所見は血管透見の消失,顆粒状粘膜,発赤,粘液付着,浮腫性粘膜,びらん,潰瘍などであり,病理学的所見として粘膜固有層の拡張,好中球の上皮内浸潤,陰窩の歪み,陰窩膿瘍および顕著なアポトーシスが認められる.このように,ICI関連大腸炎の診断には内視鏡検査と生検が必須であるが,重症度は患者により大きく異なる.また,副腎皮質ステロイドや生物学的製剤などの免疫制御療法を要する重症例も存在するため,本症を見逃さないことが重要である.