著者
赤川 果奈 下田 芳幸 石津 憲一郎
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.1-10, 2016-03-30

本研究は,中学生を対象とし,友人関係における評価懸念や友人関係満足度,そして内的適応感の指標である自尊感情として自己価値の随伴性と本来感を取り上げ,学校適応感(学校生活享受感情)との相互の関連性について,短期縦断調査によって検討したものである。中学1-3年生169名から得られた3ヶ月間隔の2回のデータについて,交差遅延効果モデルを用いて分析したところ,男子については,評価懸念から自己価値の随伴性に正の,自己価値の随伴性から本来感と学校適応感に負の,そして本来感から評価懸念,自己価値の随伴性,および学校適応感に負の影響が確認された。一方女子については,友人関係満足度から学校適応感に負の,本来感から評価懸念と自己価値の随伴性に負のパスが得られた。これらの結果を元に,中学生の友人関係,内的適応感,学校適応感の相互の関連性について考察した。