著者
藤間 詩央里 原 恵子 田端 梓 笹野 哲郎 稲次 基希 赤座 実穂 前原 健寿 松浦 雅人 角 勇樹
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.10-22, 2016-06-30 (Released:2016-06-29)
参考文献数
27

てんかんへの偏見は、患者の社会参加やQOLに大きな影響を与え、重要な検討課題である。無意識的な態度の測定方法に潜在的連合テスト(Implicit Association Test:IAT)がある。本研究は、一般健常者と医療系学生を対象にIATを行い、潜在的偏見とその要因を明らかにすることを目的とした。一般健常者21名、医療系学生42名を対象とした。IATでは「てんかん」と「糖尿病」について、「良い」と「悪い」に関係する言葉との結びつきを調べた。加えて質問紙で、各疾患のイメージ(偏見の要因となり得る未知度、外集団、脅威度)と経験、知識度を調査した。一般健常者は医療系学生に比べ、IATで「てんかん」と「悪い」との結びつきが強く潜在的偏見が強かった。またてんかんに対する未知度、外集団、脅威度も高く、てんかんの知識度は低かった。知識度が高いほど脅威度は低下し、脅威度が高いほどIATで「てんかん」と「悪い」の結びつきが強かった。正しい知識を享受することがてんかんに対する潜在的偏見の改善につながると考えられた。