著者
稲次 基希 前原 健寿
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.986-993, 2021-09-10

Point・頭部外傷後1週間以内の早期発作は急性症候性発作であっててんかんではなく,1週間以降の晩期発作を認めたものがてんかんとして扱われる.・急性期の抗てんかん薬の予防投与は推奨されているが,慢性期の予防投与は否定されている.・てんかん重積状態は予後を悪化させるため,積極的な診断・治療が必要である.特に非けいれん性てんかん重積では持続脳波モニタリングが有用である.
著者
藤間 詩央里 原 恵子 田端 梓 笹野 哲郎 稲次 基希 赤座 実穂 前原 健寿 松浦 雅人 角 勇樹
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.10-22, 2016-06-30 (Released:2016-06-29)
参考文献数
27

てんかんへの偏見は、患者の社会参加やQOLに大きな影響を与え、重要な検討課題である。無意識的な態度の測定方法に潜在的連合テスト(Implicit Association Test:IAT)がある。本研究は、一般健常者と医療系学生を対象にIATを行い、潜在的偏見とその要因を明らかにすることを目的とした。一般健常者21名、医療系学生42名を対象とした。IATでは「てんかん」と「糖尿病」について、「良い」と「悪い」に関係する言葉との結びつきを調べた。加えて質問紙で、各疾患のイメージ(偏見の要因となり得る未知度、外集団、脅威度)と経験、知識度を調査した。一般健常者は医療系学生に比べ、IATで「てんかん」と「悪い」との結びつきが強く潜在的偏見が強かった。またてんかんに対する未知度、外集団、脅威度も高く、てんかんの知識度は低かった。知識度が高いほど脅威度は低下し、脅威度が高いほどIATで「てんかん」と「悪い」の結びつきが強かった。正しい知識を享受することがてんかんに対する潜在的偏見の改善につながると考えられた。
著者
相澤 有輝 三木 一徳 藤井 照子 室田 祐大 岩瀬 遼 藤田 恭平 唐鎌 淳 前原 健寿 根本 繁 壽美田 一貴
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.795-804, 2020 (Released:2020-11-25)
参考文献数
15

頭蓋内外主幹動脈閉塞 (tandem lesion) に対する再開通療法は複雑であり確立されていない. 特に, 頭蓋内病変の治療を優先させる逆行性アプローチと頚部病変の治療を優先させる順行性アプローチのどちらが優れているか, また, 頭蓋外病変に対して初回治療時にバルーン拡張術に留めるべきかステント留置術も行うかに関しては議論の残る問題である. われわれは大口径の吸引カテーテルとステントリトリーバーを併用するcombined techniqueを用いて先に頭蓋内病変の再開通を目指す逆行性アプローチを第1選択としている. 当院における治療手順および治療成績を文献的考察と併せて報告する.
著者
藤原 幸一 坂根 史弥 宮島 美穂 山川 俊貴 加納 学 前原 健寿
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4C1OS27a05, 2018 (Released:2018-07-30)

京都市祇園で起きた軽ワゴン車の暴走により,多数の死傷者が出た痛ましい事故は記憶に新しい.事故原因としてドライバのてんかん発作が挙げられている.てんかんとは脳細胞のネットワークに起きる異常な神経活動のため,けいれんや意識障害などのてんかん発作を来す疾患である.てんかん治療の第一選択は抗てんかん薬であるが,3割の患者は薬剤では発作を抑制できない.しかし,数十秒前に発作を予知できれば,患者は発作までに身の安全を確保し,生活の質を改善できる.我々はこれまでに心拍変動(HRV)と異常検知アルゴリズムを組み合わせたてんかん発作予知技術を開発した.オフライン解析によると,感度90%以上,擬陽性率0.7回/hが達成されている.発作予知技術が実用化できれば,発作起始の前に即効性抗てんかん薬の服薬することなどにより,発作を抑制または軽減できると期待される.このような治療法をClosed-Loopてんかんケアと呼ぶ.現在,AMED先端計測プログラムにて,Closed-Loopてんかんケアの実現に向けた研究開発を行っている.本発表ではてんかん発作予知システム開発の現状と今後の見通しについて発表する.
著者
日浦 幹夫 織田 圭一 石渡 喜一 前原 健寿 成相 直 牟田 光孝 稲次 基希 豊原 潤 石井 賢二 石橋 賢士 我妻 慧 坂田 宗之
出版者
日本脳循環代謝学会
雑誌
脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌) (ISSN:09159401)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.297-302, 2017

<p>運動介入が脳機能の保持・改善に重要な役割をもつことが疫学および臨床研究により提唱されてきた.運動が脳機能に及ぼす影響と関連する生理学的背景を探索する目的で,PETを活用して有酸素運動による局所脳血流量(regional cerebral blood flow: rCBF)と脳μ-オピオイド受容体系の変化を検討した.oxygen-15-labeled water(<sup>15</sup>O-H<sub>2</sub>O)を用いたPET研究では有酸素運動中に一次運動感覚野,小脳,島皮質などで広範な脳領域でrCBFが増加することが示され,このような変化は局所の神経活動の亢進や周辺の神経受容体への影響を介して運動による神経可塑性の発現のメカニズムに関与することが推測される.<sup>11</sup>C-Carfentanil を用いたPET研究では有酸素運動後に生じるポジティブな気分変化や激しい運動に伴う疲労の発現に辺縁系や下垂体に分布するμ-オピオイド受容体系が関与し,その変化には運動強度の違いや気分変化の個人間差が影響することが提示された.PETを活用した神経画像研究は,運動に伴う脳機能変化のメカニズムに関与する要因であるrCBFおよび神経受容体系の変化を検証するために有用な手法である.</p>
著者
藤原 幸一 坂根 史弥 宮島 美穂 山川 俊貴 加納 学 前原 健寿
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.4C1OS27a05, 2018

<p>京都市祇園で起きた軽ワゴン車の暴走により,多数の死傷者が出た痛ましい事故は記憶に新しい.事故原因としてドライバのてんかん発作が挙げられている.てんかんとは脳細胞のネットワークに起きる異常な神経活動のため,けいれんや意識障害などのてんかん発作を来す疾患である.てんかん治療の第一選択は抗てんかん薬であるが,3割の患者は薬剤では発作を抑制できない.しかし,数十秒前に発作を予知できれば,患者は発作までに身の安全を確保し,生活の質を改善できる.我々はこれまでに心拍変動(HRV)と異常検知アルゴリズムを組み合わせたてんかん発作予知技術を開発した.オフライン解析によると,感度90%以上,擬陽性率0.7回/hが達成されている.発作予知技術が実用化できれば,発作起始の前に即効性抗てんかん薬の服薬することなどにより,発作を抑制または軽減できると期待される.このような治療法をClosed-Loopてんかんケアと呼ぶ.現在,AMED先端計測プログラムにて,Closed-Loopてんかんケアの実現に向けた研究開発を行っている.本発表ではてんかん発作予知システム開発の現状と今後の見通しについて発表する.</p>