著者
窪野 隆能 赤池 務
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.377-383, 1994-09-25
被引用文献数
5

陽極と陰極の電極材料がアーク放電にどのような影響を及ぼすかを調べる目的で,AgとCuを組み合せた電極対で直流30V-3Ω抵抗回路の遮断のみを30回行い,アーク放電継続時間と陰極近傍の光スペクトルの強度波形を測定した.開離時アークにおける開離動作回数と放電継続時間との関係,開離動作回数と検出スペクトルの種類およびそれらの強度との関係を調べた.陰極にAg電極を使うと陰極Cuの場合よりもアーク継続時間が長い.陽極Cuと陰極Agの異種金属電極対の場合はAgスペクトルのみ現れ,Cuスペクトルは検出されなかった.陽極Agと陰極Cuの異種金属電極対の場合は少数回の開離時にCuスペクトルのみ出現したが,開離動作回数が多くなるとAgスペクトルが放電後期から出現するようになり,開離動作数が30回程度になると放電初期からAgスペクトルが出現し,その強度は強かった.これらの現場は,AgとCuの蒸発量の違い,開離時アークの転移方向に関する二つの特徴および転移量によって引き起こされたと考えた.