著者
内藤 淳 於保 健吉 斎藤 宏 坪井 正博 高橋 英介 輿石 晴也 沖津 宏 永井 完治 雨宮 隆太 澤柳 久嘉 赤田 荘一 阿部 公彦 河内 堯 河村 一太
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.176-181, 1991-03-25

低線量率もしくは高線量率気管気管支腔内照射療法は, 手術適応のない気管気管支悪性腫瘍に対する補助療法として, 近年脚光を浴びてきた。また, Nd-YAG Laser治療と気管気管支腔内照射療法との合併療法も注目されている。今回, 我々は気管右主気管支に広範に発育した腺様嚢胞癌に対し, 内視鏡的Nd-YAG Laser療法による気道開大とfull doseのLinac外照射療法後に, ^<60>Co気管気管支高線量率腔内照射療法(腔内照射)を追加し, 腔内照射終了後約10日目に, 内視鏡的に腫瘍の消失を認めた。しかし, この症例は腔内照射終了後5カ月目に喀血死した。剖検により, 喀血の原因は, 喀血3週間前に挿入されたY-T tube先端による, 右主気管支壁の圧迫壊死に伴う肺動脈気管支瘻であることが確認された。しかし, 腺様嚢胞癌の遺残は認めなかった。以上より, 腔内照射が, 気管気管支腺様嚢胞癌に対する合併療法の一つとして, 有用であることが示唆された。