著者
越地 正 谷脇 徹 田村 淳
出版者
神奈川県自然環境保全センター
雑誌
神奈川県自然環境保全センター報告 (ISSN:13492500)
巻号頁・発行日
no.5, pp.3-9, 2008-03
被引用文献数
1

神奈川県丹沢山地一帯において2007年に大発生したブナハバチによるブナの被害調査を行った。ブナハバチ被害の中心は西丹沢の檜洞丸から加入道山にかけての標高1400m以上の地域であった。これらの地域一帯ではブナの葉が丸坊主になり残った葉脈が褐色に変わる異常な景観がみられた。葉の大部分を食害する「激害型」被害は80%を超える地点もあり、今までにない激しい規模の被害を受けたことがわかった。今回発生したブナハバチ被害により激害を受けたブナは、さらに衰弱枯死が加速する恐れがある。また、繰り返しブナハバチの大発生がみられる檜洞丸においてブナの衰弱枯死過程を調査したところ、ブナ枯れ跡地のギャップを中心に衰弱枯死が拡大していることがわかった。これらのブナの衰弱枯死原因を観察した結果、1997年以降はほとんどがブナハバチの繰り返しの食害によるものであった。