著者
奥西 智哉 岸根 雅宏 足立 由希
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】玄米はビタミン、食物繊維等を多く含むことにより健康志向ニーズに対応している。特に発芽玄米は白米との混合炊飯による食味維持で消費が大きく伸びた時期があり現在も底堅く推移している。機能向上により家庭用炊飯器においても玄米の炊飯は可能になっていることから、玄米類の白米混合炊飯の基本知見を得たので報告する。【方法】平成22年茨城県産コシヒカリ玄米から精米機(VP-31T、山本製作所)を用いて1分搗き米(搗精度99.2%)、3分搗き米(97.0%)、5分搗き米(94.9%)、精白米(90.2%)を調製した。発芽玄米は(株)ファンケルから供与された。試料を脱イオン水に浸漬後、増加重量を吸水量とした。炊飯米をテンシプレッサー(MyBoySYSTEM、タケトモ電機)により低圧縮(25%)-高圧縮(90%)連続試験を行い、各物性値を得た。【結果】吸水速度は分搗き程度により異なっていたが、玄米も含め最終的な吸水量は白米と同等であった。一方、発芽玄米は吸水量が白米および玄米類に比べ大きなものであった。玄米類(分搗き米および発芽玄米)の単独炊飯を行った場合、精白度に対し、米飯の硬さは正、粘りは負の相関があった。浸漬時間を設けることによって、硬さは低下、粘りは増加する傾向にあった。炊飯時の加圧により、硬さは低下、粘りは増加する傾向にあった。玄米類の白米混合炊飯では、単独炊飯に比べて、玄米類の粘りは増加したが、白米の粘りは低下した。混合する白米の品種により、発芽玄米の硬さおよび粘りに違いが出る可能性が示唆された。白米と玄米類の混合炊飯を行う場合、それぞれの単独炊飯で得られている従来の知見に加えて、混合炊飯特有の特性があることが示された。