著者
高畠 令王奈 大西 真理 真野 潤一 岸根 雅宏 曽我 慶介 中村 公亮 近藤 一成 橘田 和美
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.235-238, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

安全性審査済み遺伝子組換え(GM)トウモロコシおよびダイズの粉砕試料中の混入率を,重量混合比として算出するためには,内標比が必要である.内標比は,GMダイズに関しては,リアルタイムPCR新機種QuantStudio5, QuantStudio12K Flex, LightCycler 96およびLightCycler 480において,組換え配列と内在性配列のコピー数比を基に既に測定されているが,GMトウモロコシに関しては未対応であった.本研究では,GMトウモロコシのスクリーニング検査法の対象であるカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター,GA21構造特異的領域,MIR604系統特異的領域,MIR162系統特異的領域において,上記リアルタイムPCR4機種を用いて内標比を算出した.
著者
岸根 雅宏 奥西 智哉
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.591-596, 2011-12-15 (Released:2012-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

LAMP法を用いた簡易で迅速なコシヒカリの識別技術を開発した.コシヒカリを検出するプライマー(陽性プライマー)およびコシヒカリを除く品種を検出するプライマー(陰性プライマー)は,いもち病抵抗性遺伝子であるPi5-1とその感受性対立遺伝子の配列を用いて作製した.陽性および陰性プライマーによる上位48品種の増幅解析の結果,両プライマーは,それぞれコシヒカリもしくはコシヒカリ以外の品種を約90%の確度で検出可能であることが示された.また,粒サンプルからの迅速な識別を目指し,水酸化ナトリウムを用いた極簡易DNA抽出法の開発も合わせて行った.簡易法で抽出したDNAは,キットで精製したDNAとほぼ同等のLAMP増幅を行うことが可能であった.これらの手法を組み合わせ,コシヒカリとひとめぼれ(コシヒカリ以外の品種の代表)間における試料混入の検出を試みた結果,どちらのプライマーも1%の混入から検出可能であることが示された.
著者
奥西 智哉 岸根 雅宏 足立 由希
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】玄米はビタミン、食物繊維等を多く含むことにより健康志向ニーズに対応している。特に発芽玄米は白米との混合炊飯による食味維持で消費が大きく伸びた時期があり現在も底堅く推移している。機能向上により家庭用炊飯器においても玄米の炊飯は可能になっていることから、玄米類の白米混合炊飯の基本知見を得たので報告する。【方法】平成22年茨城県産コシヒカリ玄米から精米機(VP-31T、山本製作所)を用いて1分搗き米(搗精度99.2%)、3分搗き米(97.0%)、5分搗き米(94.9%)、精白米(90.2%)を調製した。発芽玄米は(株)ファンケルから供与された。試料を脱イオン水に浸漬後、増加重量を吸水量とした。炊飯米をテンシプレッサー(MyBoySYSTEM、タケトモ電機)により低圧縮(25%)-高圧縮(90%)連続試験を行い、各物性値を得た。【結果】吸水速度は分搗き程度により異なっていたが、玄米も含め最終的な吸水量は白米と同等であった。一方、発芽玄米は吸水量が白米および玄米類に比べ大きなものであった。玄米類(分搗き米および発芽玄米)の単独炊飯を行った場合、精白度に対し、米飯の硬さは正、粘りは負の相関があった。浸漬時間を設けることによって、硬さは低下、粘りは増加する傾向にあった。炊飯時の加圧により、硬さは低下、粘りは増加する傾向にあった。玄米類の白米混合炊飯では、単独炊飯に比べて、玄米類の粘りは増加したが、白米の粘りは低下した。混合する白米の品種により、発芽玄米の硬さおよび粘りに違いが出る可能性が示唆された。白米と玄米類の混合炊飯を行う場合、それぞれの単独炊飯で得られている従来の知見に加えて、混合炊飯特有の特性があることが示された。
著者
岸根 雅宏 野口 秋雄 真野 潤一 高畠 令王奈 中村 公亮 近藤 一成 橘田 和美
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.151-156, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
15
被引用文献数
2

過去の検討によってDNA検出が不可能であった高度加工食品(しょうゆ,コーンフレーク,でんぷん糖,甜菜糖,植物油など)については,現在遺伝子組換え表示対象外となっている.われわれは,それら高度加工食品のうち,水飴,甜菜糖および植物油を対象として,最新のDNA抽出キットを用いることでDNAが検出可能であるか検討を行った.食品原材料植物の種特異的内在性遺伝子DNAの検出を指標とした結果,いずれの試料においてもDNA検出可能と判定された試料はなかった.DNAが検出されなかった試料の大部分は,抽出DNAへのPCR阻害物質の混入は認められず,抽出DNA量がPCRによる検出限界以下であることが原因であると考えられた.
著者
岸根 雅宏 奥西 智哉
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.26-29, 2011-01-15
被引用文献数
1

糯米の簡易検出法を開発したので報告する.我々はまず,既に報告されている糯米の2つのモチ性変異に由来するDNAマーカーを開発し,その2つのマーカーいずれかによって,糯米の主要48品種(流通量の99.6%)がすべて検出可能であることを示した.また,開発したDNAマーカーの特異性と感度を検証するため,粳米に糯米を人為的に混入したサンプルを用いて分析を行った結果,どちらのDNAマーカーも糯米に特異的であり,また少なくとも0.5%以上の糯米の混入であれば検出可能であることが明らかとなった.