著者
辰野 良秋 堀内 照夫
出版者
Japan Society of Erosion Control Engineering
雑誌
新砂防 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.1959, no.32, pp.21-26, 1959

(1) 霜柱は一般に土壤を混んじて上長し, これが土壤侵蝕, 斜面緑化不成功の原因になるが, 展圧された土壤面, 新しい盛土, 切土面から発生する霜柱は, 土壤中の水分を多量に析出するが, 扛起する土量は非常に少い。<br>(2) 発生する霜柱の量は, 土壤条件が一様であれば気温が零度以下にある間の積算温度に比例する。また積算温度は最低気温に比例する。<br>(3) 藁伏工は気温が低くない間は (-3°程度まで) 効果は著しいが, それ以下に低下すれば効果は半減する。しかしながら裸地に比較すると霜柱発生量は少く, 発生する霜柱も土壤表面から出るので, 侵蝕防止的にも, 斜面混播保護の面からも効果は期待出来るが, 藁の量, 伏せ方等には問題が残された。この場合3本並べが良いと考えられた。<br>(4) 霜柱, 凍上現象は斜面の方位によつて著しく趣を異にするが, 斜面の上, 下の部位によつても異る。<br>(5) 土壤改良剤の土質改良効果は粘質土に対する場合, アロンA-20pに顕著な効果が認められ, 霜柱の発生を防ぐことは出来たが, 受蝕性が却つて大となつた。