著者
辻 久生 谷 由美 上田 博夫
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.609-615, 1977
被引用文献数
3

セイタカアワダチソウ(<i>Soliclago altissama L.</i>)の乾燥根茎のメタノール抽出物を,その抗菌活性を検索しながら分割した.抽出物を水蒸気蒸留し,蒸留液より淡黄色針状結晶で分離された<i>cis</i>-dehydromatricaria ester(1)は,抗菌性を示さないが,結晶母液には活性が認められた.根茎に含まれる1の含量は,植物の生育中に変化し,開花前に最大となる.水蒸気蒸留残渣をエーテルで抽出し,得られた抽出物の酸性部より分離されたkolavenic acid (2)は,グラム陽性菌に対し強い抗菌活性を示し,その最小発育阻上濃度は,6~10 ppmであった.2より誘導された数種の化合物について,その抗菌性を検討した結果,2が抗菌性を示す化学構造上の要因として,2のkolevane骨格に存在する環構造部分と,側鎖に存在する遊離の形のカルボキシル基とが認められ,このカルボキシル基に共役する二重結合によって,活性が強められると考えられる.