著者
辻 富基美 高橋 隼 篠崎 和弘
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.59-63, 2011 (Released:2011-06-30)
参考文献数
7

てんかん患者がもつ発作後精神病の予防にlamotrigineが有効であった3例を報告する。3症例は全て側頭葉てんかんと診断され、てんかんの発症から17~27年時に発作後精神病が出現した。発作型はいずれも複雑部分発作であり、十分な抗てんかん薬を投与したにもかかわらず、月1回以上の発作があった。精神病エピソードはこれまでに2~5回以上であったが、ラモトリギンの投与後10~12カ月の期間では精神病エピソードの再発がなかった。発作頻度はラモトリギンにより1症例は群発発作が消失し、2症例は発作頻度が減少した。この群発発作の消失、発作頻度の減少が発作後精神病の再発を予防した可能性がある。一般的にラモトリギンは精神病症状を引き起こす副作用の頻度が小さい。これらのことより、発作後精神病の予防ための抗てんかん薬として有用な可能性がある。