著者
辻 啓介 辻 悦子 中川 靖枝 故鈴木 慎次郎
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.187-195, 1988-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
19

各種DFのin vitroにおけるNa結合能と高血圧自然発症ラット (SHR) の血圧に与える影響とを調べた.その結果, DFのうち, カルボキシル基を有する酸性多糖類, フィチン酸などにNaとの結合, あるいはイオン置換反応が認められた.K-AlgとCa-AlgとについてSHRへの給餌試験を行ったところ, これらのDFでは1%食塩負荷にもかかわらず血圧の上昇を抑制した.糞Na排泄量も増え, 吸収を阻害することが明らかとなった.以上の結果から, Alg塩摂取による, 消化管内Na/KあるいはNa/Caのイオン交換による血圧調整作用が示唆された.
著者
辻 悦子 辻 啓介
出版者
日本脂質栄養学会
雑誌
脂質栄養学 (ISSN:13434594)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.56-65, 1998-03-25 (Released:2009-04-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

日本人の脂肪摂取の長期間の推移を知るために,1952年から1995年度までの44年間の国民栄養調査成績から脂肪酸摂取量や脂肪酸摂取比率を算出した。その結果,次のような知見が得られた。1 44年間で脂肪摂取量は3倍に,総脂肪酸摂取量は3.1倍に増加した。2動物性脂肪:植物性脂肪:魚類由来脂肪は,1952年は0.6:3.7:1であり,1995年には4.1:5.4:1で,摂取比率では動物性脂肪が増加し植物性脂肪は減少した。3飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸は1952年の1:1:1.5から1995年には1:1.1:1と変化した。4 44年間で飽和脂肪酸は3.5倍,一価不飽和脂肪酸は3.9倍,多価不飽和脂肪酸は2.2倍の増加で,飽和や一価不飽和脂肪酸の増加は肉類摂取の影響が大きかった。5 n-6/n-3,リノール酸/α-リノレン酸は1952年ではそれぞれ4.1,8.6で,1995年では4.7,8.8であった。6総脂肪酸量に占めるリノール酸やα-リノレン酸の割合は,1995年では1952年よりも減少していた。7 n-6系多価不飽和脂肪酸の供給源は油脂類,n-3系多価不飽和脂肪酸の供給源は魚類が1位であった。8摂取する油脂類として,植物油を各種に置換してn-6/n-3を算出すると,n-3系多価不飽和脂肪酸,特にα-リノレン酸の多い植物油ではn-6/n-3は低下した。