著者
近森 正幸
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.317-321, 2014-12-30 (Released:2015-02-28)

21世紀を迎え,医療の高度化と高齢社会の到来で業務量も膨大になるとともに,診療報酬も出来高払いからDPCによる一日包括払いに変わり,「早く元気になって自宅へ帰ってもらう」という付加価値を提供するようになった.今回,マネジメントの難しいチーム医療のイロハを述べてみたい. 病院全体から見れば,チーム医療を情報共有の仕方でカンファレンスですり合わせする「もたれあい型」と情報交換で情報共有する「レゴ型」に分類できるが,リウマチの診断,治療という業務を行っている現場の視点で分類すると,「人事レバレッジ」と「タスクシフト」の2種類に分かれる. [人事レバレッジ」のレバレッジは梃子であり,梃子をきかせて働かせるように医師が判断し,その指示のもと一緒に業務を行う方法である.スタッフの専門性が低いため,医療の質も労働生産性もあまり向上することがなく,医師,看護師の負担軽減が大きな役割となる. 「タスクシフト」は業務の代替を意味しており,医療専門職がそれぞれの視点で患者を診,判断し,介入する自立,自動が特徴である.専門性が高いことにより医療の質を高め,スタッフの数だけ労働生産性を高めることができる. DPC時代のチーム医療においては,診療報酬の加算の有無にかかわらず必要であればスタッフを雇い,専門性を高め,自立,自動するスタッフに育て上げることが重要で,そうしてこそマネジメントができるようになりサービス業の付加価値を生み出すことが可能となる.