著者
松尾 浩 小久保 光治 近藤 哲矢 三鴨 肇
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.827-830, 2003-07-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
10
被引用文献数
2 5

症例は43歳, 男性. 2001年3月22日午後9時頃より腹痛を自覚し, 腹痛が強度となり4時間後に救急車にて当院に緊急入院した. 腹部は軽度膨隆し, 全体に圧痛と筋性防御を認めた. 血液検査にてCRPは陰性であったが, 白血球の上昇を認めた. 腹部CT検査にてfree airと腹水, 骨盤腔にlow density areaを認めた. 肛門よりビニール製のひもが1mほど脱出しており, 出血を軽度認めた. 直腸異物による消化管穿孔の診断のもとに緊急手術を施行した. 開腹すると便汁を混じた腹水を認め, 骨盤腔に直径5.5Cm高さ19cmの哺乳びんを認めた. 腹膜翻転部から10cmの直腸前壁が長軸方向に10cmにわたり穿孔しており, 同部より哺乳びんが腹腔内に露出していた. 手術は同部を縫合閉鎖し, 横行結腸にて双孔式人工肛門を造設した. 経肛門的に異物が入った経過を何度も確認したが, 風呂場で転んだ拍子に哺乳びんが肛門から入ってしまったとのことであった. 術後6ヵ月後に人工肛門を閉鎖し経過良好である.
著者
杉本 琢哉 近藤 哲矢 仁田 豊生 山本 淳史 尾関 豊 関戸 康友
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.183-188, 2006-02-01
参考文献数
24
被引用文献数
6

症例は76歳の男性で, 2001年10月に検診で胃の異常陰影を指摘され, 精査加療目的で当科を紹介された.血液検査では腫瘍マーカーは正常であったが可溶性IL-2レセプターは926U/mlと高値であった.上部消化管造影, 内視鏡検査では前庭部に2型の腫瘍を認めた.生検では悪性リンパ腫が疑われた.以上から, 胃悪性リンパ腫を疑い2001年12月胃全摘, 脾摘術を施行した.病理組織学的, 免疫組織学的検査で胃小細胞癌と診断した.術後CPT-11による化学療法を施行した.2003年8月の腹部CTで肝S7に22mm大の腫瘍を認め肝転移が疑われた.その他全身に異常を認めなかったため2003年11月, 肝S7S8部分切除術を施行した.病理組織学的に肝腫瘍は胃切除組織と同様であり胃小細胞癌の肝転移と診断した.肺転移の疑いがありVP-16による化学療法を施行中であるが胃切除から3年, 肝切除から1年1か月の現在生存中である.