著者
末吉 慎太郎 進 武一郎 中島 格
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.10, pp.1120-1125, 2013-10-20 (Released:2013-11-26)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

症例は66歳男性. 咽頭痛を主訴に当科受診した. 診察上, 咽喉頭の左半側にアフタと不規則なびらんを多数認めた. 急性咽喉頭炎の診断で抗生剤, 抗真菌薬の内服を行うも改善なく, 徐々に咽頭痛が増悪し, 吃逆を認めた. 抗ウイルス薬を開始し, ステロイドの投与を併用したところ咽頭の炎症は改善するも, 吃逆は持続した. 加えて失神発作を繰り返すようになり, 当科入院となる. 入院後, 精査を行い, 吃逆時に洞停止が起こることが判明した. 吃逆に対してバクロフェン, 芍薬甘草湯の内服を行い, 吃逆の速やかな消失とともに失神発作も改善した. 失神は吃逆による状況失神が考えられた. 吃逆は, 咽頭炎による舌咽神経咽頭枝の刺激で誘発された可能性がある.