- 著者
-
遠藤 佑介
山本 尚人
石川 諄武
露木 肇
山中 裕太
嘉山 貴文
矢田 達朗
片橋 一人
佐野 真規
犬塚 和徳
竹内 裕也
海野 直樹
- 出版者
- 日本静脈学会
- 雑誌
- 静脈学 (ISSN:09157395)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.1, pp.21-27, 2022-02-17 (Released:2022-02-17)
- 参考文献数
- 18
直接作用型経口抗凝固薬(以下DOAC)が広く使用されるようになり,患者の実情に即した適応用量以外の使用も増えている.われわれも一定数で低用量のエドキサバンを選択している.2014年から2019年までに経験した静脈血栓塞栓症は528例であった.経口抗凝固薬の使用なしが105例,DOACの通常用量が249例,エドキサバン低用量が98例,ワルファリンが78例であった.低用量エドキサバン使用例についてその患者背景と出血性・血栓性の有害事象について検討した.低用量エドキサバン96症例では,中枢型40例/末梢型56例,有症状11例/無症状85例で,低用量での使用理由は出血のリスクが48例,血栓伸展予防目的が48例であった.出血リスク症例48例中3例で出血のため抗凝固を中止したが速やかに止血が得られ,再開が可能であった.低用量エドキサバンは抗凝固なし/治療用量の抗凝固療法以外の選択肢として有用であり,出血リスクが高い症例に対しても有効な治療選択肢といえる.