著者
榊原 淳太 山本 尚人 中村 力也 荒井 学 大木 陽亮 宮崎 勝
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.608-612, 2011-03-25
被引用文献数
1

症例は60歳,女性.2002年右乳癌に対し術前化学療法後,右乳房切除術を施行.2004年骨転移のため化学療法を開始.2005年左鎖骨下静脈より中心静脈ポート(以下CVポート)を留置.その後,同ポートに感染を認め抜去し2008年6月左上腕静脈に再留置.2009年5月左頸部の腫脹,疼痛が出現し精査にて左内頸静脈内に広範な血栓を認めた.CVポートによる血栓形成と考え同日緊急入院.肺塞栓予防目的でヘパリナイゼーション後,CVポートを抜去.その後ワルファリン内服開始し症状は軽快した.<BR>当院における2007年1月~2009年6月までのポート留置症例の血栓形成に関する合併症は6/276(2.1%)であった.担癌患者のCVポート留置症例に対しては血栓形成の有無を画像にて定期的に確認することが重要である.
著者
遠藤 佑介 山本 尚人 石川 諄武 露木 肇 山中 裕太 嘉山 貴文 矢田 達朗 片橋 一人 佐野 真規 犬塚 和徳 竹内 裕也 海野 直樹
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.21-27, 2022-02-17 (Released:2022-02-17)
参考文献数
18

直接作用型経口抗凝固薬(以下DOAC)が広く使用されるようになり,患者の実情に即した適応用量以外の使用も増えている.われわれも一定数で低用量のエドキサバンを選択している.2014年から2019年までに経験した静脈血栓塞栓症は528例であった.経口抗凝固薬の使用なしが105例,DOACの通常用量が249例,エドキサバン低用量が98例,ワルファリンが78例であった.低用量エドキサバン使用例についてその患者背景と出血性・血栓性の有害事象について検討した.低用量エドキサバン96症例では,中枢型40例/末梢型56例,有症状11例/無症状85例で,低用量での使用理由は出血のリスクが48例,血栓伸展予防目的が48例であった.出血リスク症例48例中3例で出血のため抗凝固を中止したが速やかに止血が得られ,再開が可能であった.低用量エドキサバンは抗凝固なし/治療用量の抗凝固療法以外の選択肢として有用であり,出血リスクが高い症例に対しても有効な治療選択肢といえる.
著者
斉藤 貴明 犬塚 和徳 佐野 真規 片橋 一人 矢田 達朗 嘉山 貴文 露木 肇 山中 裕太 山本 尚人 海野 直樹 竹内 裕也
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.413-417, 2018-12-21 (Released:2018-12-21)
参考文献数
27

症例は45歳女性.糖尿病性腎症のため左上腕内シャントで透析を行っていた.透析導入から6年後にシャント静脈高血圧による左顔面および左上肢の浮腫が出現し,当科紹介となった.造影CT検査でシャント静脈高血圧の原因となる左腕頭静脈の高度狭窄を認めた.最初に左腕頭静脈の経皮経管的バルーン拡張術を行ったが,3週間後には症状が再燃したため14 mm×40 mmステント(SMART, Cordis, Dublin, Ohio, USA)留置術を施行した.以降,顔面および上肢の浮腫は軽減したが,術後1カ月で左胸水が出現した.超音波検査にてシャント血流量が1537 mL/minと高値であったため,シャント血流過多による心不全の診断で,人工血管PTFEグラフト(PROPATEN, GORE, Newark, USA)を使用しシャント静脈バンディング手術を施行した.術中超音波検査を併用しシャント血流量を491 mL/minに減量させた.術後は心不全の改善を認め,顔面および上肢の浮腫も増悪なく経過している.
著者
榊原 淳太 山本 尚人 中村 力也 荒井 学 大木 陽亮 宮崎 勝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.608-612, 2011 (Released:2011-09-25)
参考文献数
18

症例は60歳,女性.2002年右乳癌に対し術前化学療法後,右乳房切除術を施行.2004年骨転移のため化学療法を開始.2005年左鎖骨下静脈より中心静脈ポート(以下CVポート)を留置.その後,同ポートに感染を認め抜去し2008年6月左上腕静脈に再留置.2009年5月左頸部の腫脹,疼痛が出現し精査にて左内頸静脈内に広範な血栓を認めた.CVポートによる血栓形成と考え同日緊急入院.肺塞栓予防目的でヘパリナイゼーション後,CVポートを抜去.その後ワルファリン内服開始し症状は軽快した.当院における2007年1月~2009年6月までのポート留置症例の血栓形成に関する合併症は6/276(2.1%)であった.担癌患者のCVポート留置症例に対しては血栓形成の有無を画像にて定期的に確認することが重要である.