著者
市来 嘉伸 宮澤 光男 竹内 裕也 松井 孝至 島田 敦 大石 崇 磯部 陽 窪地 淳 池内 駿之 島 伸吾
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.254-258, 2001-03-01
被引用文献数
6

毛髪胃石とは経口的に摂取された毛髪に胃液が作用して固形物となり, 胃内に残存したものである.今回, 我々は腸閉塞をきたした毛髪胃石の1例を経験したので報告する.症例は15歳の女性.平成9年4月上腹部痛を主訴に来院.心窩部に腫瘤を触知し, 胃内視鏡にて胃内に巨大な毛髪塊を認めた.内視鏡的に摘出を試みるも, 摘出困難.手術を勧めたが, 本人が受験後に治療を希望したため, 一時退院となった.平成10年4月, 再び上腹部痛, 嘔吐出現.同様の腫瘤を触知, 腹部全体が膨隆していた.腹部X-p上, 拡張した小腸ガス像と多量の胃内容物を認め, デニスチューブ挿入するも症状改善なく, 開腹による毛髪塊摘出術を施行した.回盲部から120cmの回腸と胃内に, それぞれ70g, 530gの毛髪塊を認め, 回腸内毛髪塊によりイレウスが誘発されたと考えられた.現在精神科的にもfollow upされており, 再発徴候は見られていない.
著者
井上 正純 竹内 裕也 松田 祐子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

食道扁平上皮癌切除例における癌組織中のIL-8とCXCR2の発現を検討したところ、IL-8/CXCR2共発現例で有意に術後無再発生存割合及び全生存割合が不良だったことからIL-8/CXCR2シグナルが食道扁平上皮癌細胞動態に関与していることが示唆された。食道扁平上皮癌細胞株を用いた実験ではin vitroにおいてIL-8/CXCR2シグナルを外因的・内因的に刺激すると細胞増殖は亢進し、外因的・内因的に抑制すると細胞増殖が抑制された。ヌードマウスを用いたin vivo実験でも同様の結果を得たことから、IL-8/CXCR2シグナル伝達が食道扁平上皮癌の細胞増殖に関与していることが示唆された。
著者
遠藤 佑介 山本 尚人 石川 諄武 露木 肇 山中 裕太 嘉山 貴文 矢田 達朗 片橋 一人 佐野 真規 犬塚 和徳 竹内 裕也 海野 直樹
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.21-27, 2022-02-17 (Released:2022-02-17)
参考文献数
18

直接作用型経口抗凝固薬(以下DOAC)が広く使用されるようになり,患者の実情に即した適応用量以外の使用も増えている.われわれも一定数で低用量のエドキサバンを選択している.2014年から2019年までに経験した静脈血栓塞栓症は528例であった.経口抗凝固薬の使用なしが105例,DOACの通常用量が249例,エドキサバン低用量が98例,ワルファリンが78例であった.低用量エドキサバン使用例についてその患者背景と出血性・血栓性の有害事象について検討した.低用量エドキサバン96症例では,中枢型40例/末梢型56例,有症状11例/無症状85例で,低用量での使用理由は出血のリスクが48例,血栓伸展予防目的が48例であった.出血リスク症例48例中3例で出血のため抗凝固を中止したが速やかに止血が得られ,再開が可能であった.低用量エドキサバンは抗凝固なし/治療用量の抗凝固療法以外の選択肢として有用であり,出血リスクが高い症例に対しても有効な治療選択肢といえる.
著者
北嶋 諒 森田 剛文 古橋 暁 木内 亮太 武田 真 菊池 寛利 渡邊 文利 杉本 健 坂口 孝宣 竹内 裕也
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.7, pp.583-591, 2019-07-10 (Released:2019-07-10)
参考文献数
27

症例は60歳女性,貧血精査内視鏡検査でVater乳頭部腫瘍とその肛門側に粘膜下腫瘍を認めた.皮膚筋肉に多発する腫瘤やcafé au lait斑および乳頭部腫瘍生検より,神経線維腫症1型(NF1)に随伴する神経内分泌腫瘍(NET)と診断した.膵頭十二指腸切除術施行時,近位空腸漿膜に突出する結節が散在していた.病理上,乳頭部腫瘍はNET G2,乳頭肛門側腫瘍を含め他の腫瘍はいずれもGISTであった.本症例のような報告はまれである.
著者
斉藤 貴明 犬塚 和徳 佐野 真規 片橋 一人 矢田 達朗 嘉山 貴文 露木 肇 山中 裕太 山本 尚人 海野 直樹 竹内 裕也
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.413-417, 2018-12-21 (Released:2018-12-21)
参考文献数
27

症例は45歳女性.糖尿病性腎症のため左上腕内シャントで透析を行っていた.透析導入から6年後にシャント静脈高血圧による左顔面および左上肢の浮腫が出現し,当科紹介となった.造影CT検査でシャント静脈高血圧の原因となる左腕頭静脈の高度狭窄を認めた.最初に左腕頭静脈の経皮経管的バルーン拡張術を行ったが,3週間後には症状が再燃したため14 mm×40 mmステント(SMART, Cordis, Dublin, Ohio, USA)留置術を施行した.以降,顔面および上肢の浮腫は軽減したが,術後1カ月で左胸水が出現した.超音波検査にてシャント血流量が1537 mL/minと高値であったため,シャント血流過多による心不全の診断で,人工血管PTFEグラフト(PROPATEN, GORE, Newark, USA)を使用しシャント静脈バンディング手術を施行した.術中超音波検査を併用しシャント血流量を491 mL/minに減量させた.術後は心不全の改善を認め,顔面および上肢の浮腫も増悪なく経過している.
著者
中村 理恵子 大森 泰 須田 康一 和田 則仁 川久保 博文 竹内 裕也 山上 淳 天谷 雅行 北川 雄光
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1515-1526, 2018 (Released:2018-08-20)
参考文献数
24

自己免疫性水疱症は自己抗体により細胞間接着が障害され,皮膚や重層扁平上皮に水疱が形成される疾患の総称である.多くは皮膚に水疱やびらんを形成するが,目,鼻,口腔粘膜,口唇,咽喉頭,食道などの重層扁平上皮にも水疱やびらんを形成することがある.しかし,咽喉頭および食道粘膜における病変の発生頻度や特徴についてはよく知られていない.この研究においては,自己免疫性水疱症における上部消化管内視鏡検査の重要性を評価することを目的とし,内視鏡的な咽喉頭食道病変の発生頻度をprimary endpoint,内視鏡的・臨床的特徴を見出すことをsecondary endpointとして評価を行った.口腔または咽喉頭病変を50.4%,咽喉頭病変を30.8%に認めた.通常観察で食道粘膜面に異常を認めなかった症例の40.6%において機械的刺激による表皮剥離または血疱形成(Nikolsky現象)を呈した.全体の16.8%に通常観察で食道病変を認め,56.0%がNikolsky現象陽性を呈した.皮膚病変を認めない29.2%の症例において,77.7%に口腔または咽喉頭病変,36.1%に食道病変,58.3%にNikolsky現象を認めた.上部消化管内視鏡所見より自己免疫性水疱症を疑うことは可能であり,その内視鏡的特徴および所見を理解しておくことは重要である.
著者
気賀澤 悠 中村 理恵子 大森 泰 高橋 常浩 和田 則仁 川久保 博文 才川 義朗 竹内 裕也 北川 雄光
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.86-87, 2015-12-12 (Released:2016-01-06)
参考文献数
4

論文撤回のお知らせ 論文タイトル: 術後の癒着・狭窄予防にステロイド局注が著効した下咽頭表在癌の1 例 著者: 気賀澤悠・中村理恵子・大森泰・高橋常浩・和田則仁・川久保博文・才川義朗・竹内裕也・北川雄光 掲載誌: 「Progress of Digestive Endoscopy」第87 巻1 号,pp. 86-87 撤回理由: 編集作業上の事故により同一論文を2 回掲載してしまったため、2 回目掲載の本論文を撤回いたします。 本件は二重投稿には当たらず、出版社が引き起こした多重出版であることをここに明記いたします (撤回通知掲載:第90 巻1 号)。 「Progress of Digestive Endoscopy」編集委員会 委員長 髙橋 信一
著者
後藤 修 竹内 裕也 北川 雄光 矢作 直久
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.1632-1640, 2015 (Released:2015-08-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

内視鏡と腹腔鏡を用いて胃を開放させずに任意の部位を過不足ない範囲で全層切除する非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術(non-exposed endoscopic wall-inversion surgery:NEWS)について概説した.腹腔内汚染や医原性腹膜播種の可能性を理論的に払拭できる本法は,経口的に回収できる腔内もしくは壁内発育型胃粘膜下腫瘍や,リンパ節転移陰性が期待できるが内視鏡治療が技術的に困難な早期胃癌が良い適応となる.さらに,本術式をセンチネルリンパ節ナビゲーション手術と融合させることで,リンパ節転移の可能性が否定できない早期胃癌に対してもより低侵襲な胃機能温存手術を提供することができる.正確な漿膜マーキング,腹腔鏡下漿膜筋層切開・縫合,内反した病変周囲の粘膜切開,縫合糸近傍の粘膜下層切開など,技術的にも新規性に富む過程が満載されている.解決すべき課題は多いが,本法は内視鏡を用いたより理想的な胃癌低侵襲手術の一つとして期待が寄せられている.