著者
遠藤 律子 宮崎 紀郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.69-78, 2007-01-31 (Released:2017-07-11)
参考文献数
40

書物は印刷を表現手段とするグラフィックデザインの一部であり、印刷技術に支えられ、変化し続けてきた。本研究は、日本の書物の装幀の変遷を、主として印刷、製本、製紙などの技術との関係から参照する。これにより技術が装幀に与えた影響を浮き彫りにすることから、今後の装幀、ひいてはグラフィックデザインやコミュニケーションデザインに資することを目的とする。日本の書物は、主として西洋からの技術の導入により、従来培ってきた書物のあり方から、書物の構造と概念を大きく変えられるに至った。とりわけ、諸技術の導入期である明治の初頭における書物の装幀の改革は、現在の書物のデザインに大きく影響している。本論は継続研究の第1報であり、明治期の装幀についての調査結果を論じている。その結果、明治期を大きく3期に分割することができることが判明した。また、和装本から洋装本への移行の過程、方法が解明された。