著者
太田 勝巳 伊藤 憲弘 細木 高志 遠藤 浩司 梶川 修
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.407-412, 1993
被引用文献数
2 4

水耕ミニトマト, 'シュガーランプ', 'サンチェリー','ミニキャロル'および'アカコッコ'において培養液濃度が裂果発生に及ぼす影響を検討し, 裂果発生機構の解明を試みた。<BR>'アカコッコ'を除いた3品種においては培養液濃度が高いほど裂果発生が増加した。しかし, 'アカコッコ'は培養液濃度の影響を受けなかった。成熟果および裂果までの積算温度の差異はいつれの品種においても培養液濃度の影響がみられなかった。裂果発生が増加した要因は糖度の上昇, 果実の浸透ポテンシャルの低下および果肉の硬さの低下などによるものと考えられた。高濃度で栽培された果実ほど少ない水の注入量(果実体積当たりも同様) で人工裂開を生じた。<BR>'サンチェリー'は高培養液濃度で栽培された果実の果肉部分における浸透ポテンシャルが低下していた。吸水試験では高培養液濃度における果実ほど裂果が多く発生し, 果実の膨張率が高くなり, 吸水能力が高いことを示した。