著者
遠藤 瑶子 藤居 東奈 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.8-14, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
22
被引用文献数
6

調理過程における根菜類中のNaCl拡散係数およびNaCl濃度の変化について検討した。ダイコン,ニンジン,ジャガイモは2 cm角に成型し, 20,50,70°Cで16,8,6時間0.2 M NaCl水溶液に浸漬し,拡散係数を測定した。測定の結果,拡散係数はダイコン>ニンジン>ジャガイモの順に大きく,水分含量が多いほど拡散係数は大きかった。2 cm角のダイコンを試料として20°Cの0.2~0.8 M NaCl水溶液におけるNaCl拡散係数を測定したところ,この範囲での拡散係数の濃度依存性はほとんどみられなかった。測定した拡散係数を用いて,温度変化,濃度変化を伴う調理条件での各体積要素の平均食塩濃度の変化を予測したところ,予測値と実測値はよく一致した。よって,試料を1mm3の体積要素の集合体とし,差分方程式を用いることで,試料の食塩濃度の分布および全体の平均濃度の予測が可能であることを示した。
著者
遠藤 瑶子 今泉 有喜 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.403-412, 2012 (Released:2013-12-27)
参考文献数
21
被引用文献数
1

水温上昇速度1.5~20℃/minで加熱する場合もしくは沸騰水加熱におけるジャガイモの内部温度および硬さの変化をプログラム計算により予測し,最適加熱時間を算出した。計算の結果,沸騰のみで加熱を行った場合に比べて,水温上昇期を利用することで適度な硬さとするための沸騰継続時間が短縮され,試料形状の違いによる沸騰継続時間の差も小さくなった。水温上昇速度が3℃/minよりも緩慢になると硬化の影響が大きくなり,沸騰継続時間は長くなった。水温上昇が1.5℃/minと緩慢な加熱,もしくは95℃一定温度での加熱により試料内部の硬さは均一となり,煮くずれしにくいことがシミュレーションにより示された。5段階評点法による官能評価を行ったところ,1.5℃/minでの加熱により調製した試料よりも煮くずれがほとんどないと評価された。
著者
遠藤 瑶子 渥美 恵理 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.422-428, 2012 (Released:2013-12-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ダイコン,ニンジン,ジャガイモの1~3cm角を20℃,0.8~2.0% NaCl水溶液に浸漬した時の試料内部の食塩濃度分布の経時変化をプログラム計算により算出した。プログラムは三次元熱伝導および拡散解析に基づく差分法を用い,Visual Basic(Microsoft)により作成した。水から加熱し余熱を利用して適度な硬さとしたものを試料とした。計算により試料全体の平均濃度が0.6~0.9%になる時間を求め,実際に試料を調製し,塩味の濃さについて-2から+2の5段階評点法で官能評価を行った。官能評価の結果,0.8~1.5% NaCl水溶液浸漬時の試料全体の平均濃度が0.7%であれば,野菜の種類やサイズによらず適度な食塩濃度であった。2.0% NaCl水溶液では試料断面の食塩濃度分布から表面付近が濃すぎて適度な状態が得られなかった。加熱時の調味時間はそれぞれジャガイモ>ニンジン>ダイコンの順に長かった。