著者
遠藤 瑶子 藤居 東奈 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.8-14, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
22
被引用文献数
6

調理過程における根菜類中のNaCl拡散係数およびNaCl濃度の変化について検討した。ダイコン,ニンジン,ジャガイモは2 cm角に成型し, 20,50,70°Cで16,8,6時間0.2 M NaCl水溶液に浸漬し,拡散係数を測定した。測定の結果,拡散係数はダイコン>ニンジン>ジャガイモの順に大きく,水分含量が多いほど拡散係数は大きかった。2 cm角のダイコンを試料として20°Cの0.2~0.8 M NaCl水溶液におけるNaCl拡散係数を測定したところ,この範囲での拡散係数の濃度依存性はほとんどみられなかった。測定した拡散係数を用いて,温度変化,濃度変化を伴う調理条件での各体積要素の平均食塩濃度の変化を予測したところ,予測値と実測値はよく一致した。よって,試料を1mm3の体積要素の集合体とし,差分方程式を用いることで,試料の食塩濃度の分布および全体の平均濃度の予測が可能であることを示した。
著者
藤居 東奈 西村 ひとみ 野田 寧
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.136-145, 2015 (Released:2015-05-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

海外で収集した市販食用塩について,主成分,微量成分等を分析し,品質調査を実施した。海外の市販食用塩は,日本国内で生産された商品と比較して塩化ナトリウム純度が高い傾向であった。微量成分は,海水由来の成分,土砂等から混入したと推測される成分など,日本国内の市販食用塩と同様の成分が検出された。食品添加物は,7割の商品で添加されており,日本国内の市販食用塩と比較して,添加物の使用割合が高く,その種類も多様であった。低ナトリウム塩における,塩化カリウムの濃度は,日本国内の市販食用塩では塩化カリウムが50%の商品が主であるのに対して,海外の市販食用塩では30~100%の商品があり,塩化カリウムと塩化ナトリウムの割合が様々であった。以上より,海外の市販食用塩は,塩化ナトリウム純度や食品添加物が日本国内の市販食用塩とは異なる傾向であった。