著者
高屋 快 鈴木 龍児 梅邑 明子 鈴木 雄 遠藤 義洋 北村 道彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2725-2728, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
13

症例は76歳,男性.平成18年10月12日17時頃温泉のサウナ内で倒れているところを発見され救急車にて当院搬送された.来院時体温38.2℃,血圧126/70mmHg,脈拍147回/分,意識レベルJCS 300点,全身皮膚にI度熱傷あり.CT,MRIなどで意識障害の原因を検索したが明らかなものは認められなかった.全身管理目的にて当科入院となり2病日には意識レベル回復し経口摂取開始したが,3病日朝より39℃を超える発熱と意識障害(JCS 20~30点)をきたし,採血にてDICと判断し中心静脈カテーテルを留置しメシル酸ガベキサート持続静注を開始した.また肝機能障害も認めた.意識レベル,凝固能・肝機能はともに日数経過とともに改善認め,6病日より経口摂取開始,7病日にメシル酸ガベキサート投与中止し中心静脈カテーテルも抜去した.その後皮膚の所見も軽快し16病日に独歩退院となった.サウナによる熱中症に伴う意識障害の報告は散見されるが,本症は遅発性に意識障害,DIC,肝機能障害をきたしたもので,興味深い病態と考えられた.
著者
梅邑 晃 遠藤 義洋 鈴木 雄 渋谷 俊介 渋谷 香織 梅邑 明子 谷村 武宏 北村 道彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.962-967, 2009 (Released:2009-10-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3

目的:切除不能悪性腫瘍に伴う上部消化管狭窄に対する胃空腸バイパス手術の直接成績や予後に関する報告は少ない.当科におけるバイパス手術症例について検討したので報告する.方法:1999年1月から2007年12月までにバイパス手術を施行した33症例について,背景因子,術後経口摂取開始日および経口摂取期間,術後生存期間,術後生存期間に影響を及ぼす因子について検討を行った.結果:平均年齢は69歳,男女比は19:14,疾患は胃癌が16例で最多であった.平均術後経口摂取開始日は7.2病日,経口摂取期間中央値は127日間,32例で術後5分粥以上を摂取できた.退院率は93.9%,50%生存期間は149日であった.術後生存期間は,術前全身合併症,貧血,低栄養,術後化学療法未施行の群で有意に低下した.結語:バイパス手術は,術後早期の経口摂取が可能で,切除不能悪性腫瘍患者のQOLの改善に大きく貢献する.ただし,全身合併症,貧血や低栄養などがある場合には適応を慎重に決定する必要がある.
著者
高屋 快 鈴木 龍児 梅邑 明子 鈴木 雄 遠藤 義洋 北村 道彦
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2725-2728, 2008-10-25
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は76歳,男性.平成18年10月12日17時頃温泉のサウナ内で倒れているところを発見され救急車にて当院搬送された.来院時体温38.2℃,血圧126/70mmHg,脈拍147回/分,意識レベルJCS 300点,全身皮膚にI度熱傷あり.CT,MRIなどで意識障害の原因を検索したが明らかなものは認められなかった.全身管理目的にて当科入院となり2病日には意識レベル回復し経口摂取開始したが,3病日朝より39℃を超える発熱と意識障害(JCS 20~30点)をきたし,採血にてDICと判断し中心静脈カテーテルを留置しメシル酸ガベキサート持続静注を開始した.また肝機能障害も認めた.意識レベル,凝固能・肝機能はともに日数経過とともに改善認め,6病日より経口摂取開始,7病日にメシル酸ガベキサート投与中止し中心静脈カテーテルも抜去した.その後皮膚の所見も軽快し16病日に独歩退院となった.サウナによる熱中症に伴う意識障害の報告は散見されるが,本症は遅発性に意識障害,DIC,肝機能障害をきたしたもので,興味深い病態と考えられた.