著者
池松 秀之 鍋島 篤子 鄭 湧 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 原 寛 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.17-23, 2000-01-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
20
被引用文献数
4 5

高齢者において, 1996/97年インフルエンザ流行期における不活化インフルエンザワクチンの予防効果及び接種回数とワクチン効果との関連について検討した. 対象は60歳以上のワクチン未接種者104名, 接種者166名の計270名で, ワクチン接種者中, 前年度接種を受けた患者104名中56名は今回1回, 58名は今回2回接種を受けた. 前年度接種を受けていない52名は, 今回2回接種を受けた.流行後のHI抗体価の4倍以上の上昇よりインフルエンザ感染と診断された患者の率は, 未接種者ではA/H3N2が16.3%, Bが8.7%であった. ワクチン接種者のインフルエンザ感染率は, A/H3N2が3.0%, Bが0.6%であり, 未接種者に比し有意に低かった (p<0.001, p<0.01). ワクチン接種者中, 前年度ワクチン未接種者にはインフルエンザ感染者は見られなかった.前年度ワクチン接種をうけ, 今回1回接種者および今回2回接種者のインフルエンザ感染率は, A/H3N2がそれぞれ5.2%および3.0%で, Bが0%および1.8%であり, 前年度ワクチン接種者においても, インフルエンザ感染率は, 未接種者に比し低く, 1回接種と2回接種に, 有意の差は認められなかった.以上の成績より, 不活化インフルエンザワクチンは, 高齢者のインフルエンザ予防に有効と考えられた. 高齢者において, インフルエンザワクチンの毎年の接種が勧められ, 1回接種も, 感染予防に有効であると考えられた.