著者
酒井 敏夫 増田 充 荒井 聡博 大野 恒男 田辺 正夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-116, 1951-08-01

吾々は, 徹夜時に見られる心身諸変化の消長を詳細に観察する目的を以つて, 蓮続反応時, 時間錯誤, 膝蓋腱反射閾値, 脈膊恢復曲線, 体温, 血圧, 及び尿竝びに唾液のpHを逐時的に測定した。共の結果,<BR>(1) 体温, 及び尿のpH, は, 漸次下降する傾向にある。唾液は, 尿のpHほど一定の傾向が得られなかつた。<BR>(2) 血圧は, 順時下降し, 特に最小血圧の変動は, 徹夜作業時に微妙な関係を有しているようであつた。<BR>(3) 運動負荷に対する, 脈膊数の増加は, 時間の經過につれて減少し, 又恢復時間も延長するようであつた。<BR>(4) 膝蓋健反射閾値の逐時的変化は, 從來発表されている成績と一致した。<BR>(5) 時間錯誤試験では, 午前12時を境にして正の錯誤, 負の錯誤が著明で, その移行は逐時的なものが説察された。<BR>(6) 迚続反応時より見たる徹夜時の大腦機能は午前12時頃までは本実験の如き精神負荷では漸次集中過程に入り, それ以向は, 興奮と抑制の強い混在が著明に現われて來るようであつた。翌日に於ける大腦機能では, 從來吾々が実験し得なかつた大腦皮質興奮の異常なものの存在を知つた。
著者
山本 清 酒井 敏夫 増田 充 林 義久 古谷 浩通 黒坂 二助 国香 直彦 奥山 順三 古川 照雄 高崎 信三郎
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.156-160, 1951-10-01

1) 第27回關東大聖驛傳選手の體力醫學的調査を行い從來云われていた事實の檢討を行つた。<BR>2) 高度に訓練を行つた選手は, 健康なる時には少々の疲勞と思われる状態でも, 自己の肉體的彈力性のため疲勞と云われる程負荷が過重とはならない。<BR>3) 試驗前の精神緊張は相當張いが, 非訓練者のそれと比べ相違している。<BR>4) 疾走後疲勞困憊の域に達しても, 約2時闇以内に適當なろ休養をとれば, ほとんど回復することが觀察される。