著者
山本 清
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.97-118, 2020-07-15 (Released:2021-08-12)
参考文献数
31

国際的な成果主義・業績主義の流れの中で,教員の人事評価がいかなる背景と理論を持っているか,また,どの程度我が国で適用されているかを個別大学レベルで分析した.得られた結果は,成果志向・業績志向は政府・文科省の大学改革により急速に強まり,人事評価の結果を処遇に反映させることも浸透しつつあることである.この背景には,NPMの成果主義とスタッフの業績に応じた報酬を与えることでモチベーションが高まるとする期待理論がある.しかし,大学教員の教育・研究・社会貢献の成果を同精度で組織への寄与を含め測定することは,容易なことではない.したがって,人事評価の展開に際しても,業績測定の改善や教員の動機づけ要素並びに報酬の財源などに注意を払う必要があろう.
著者
山本 清
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
雑誌
大学改革・学位研究 (ISSN:27583708)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.13-28, 2023-03-01 (Released:2023-03-31)
参考文献数
20

国は国立大学の改革として法人化以降,財政制約の下,重点支援による類型化,成果志向の運営費交付金配分や指定国立大学法人制度の導入,さらには複数の大学を擁する国立大学機構の創設などを実施してきた。これらの動きは,制度論では,政府論理,ビジネス論理及びアカデミック論理を国立大学法人の組織論理に適用するものと理解できる。特に,ビジネス論理が政府論理に支えられる形式で法人のガバナンスや経営に適用されるようになり,3つの組織原理が相互に補完・依存する関係になっておりハイブリッド化が進んでいる。大学ファンドによる国際卓越研究大学も国の財政負担を少なくして基金を創設して運用益を支援するものであり,ビジネス論理による政府論理の適用であり,アカデミックの活動を改善しようとする。しかしながら,3つの組織論理は競合するものであり,より個別化を推進する方策が成功するか検証することが必要である。
著者
山本 清龍 下村 彰男 小野 良平 熊谷 洋一
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.735-738, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12

本研究は, 日本の都市住民の多くが利用してきた銭湯に関して, 第一に, 戦後の都市拡張の中において行われた銭湯の立地の特性について把握し, 第二に, 銭湯周辺の物的空間構成から人々の生活行動に関わる空間秩序を読み取ることを目的とする。研究対象として, 東京都練馬区の銭湯65軒を抽出し, 道の階層性および住宅の集積との関係から立地特性の分析を行い, さらに銭湯周辺の商業施設の分布および商店の業態から空間構成の分析を行った。その結果, 銭湯は滞留時間の長い商業施設の中心に位置し, 都市拡張のフロンティアとして街並み形成に重要な役割を果たしていたことなどが明らかとなった。
著者
武井 浩樹 藤田 智史 山本 清文 中谷 有香
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

小児期では味蕾は成熟しているが,味覚情報を脳内に伝える脳神経線維や中継核はまだ発達途上である。したがって味覚を生み出す大脳皮質味覚野においても同様に発達が完了していないと考えられる。神経回路の発達が完了する「臨界期」の存在が大脳皮質視覚野で報告されているが,味覚野では未解明のまままである。そこで,脳内のニューロン活動を経過観察できるレンズをマウスに埋入し,種々の味覚物質を摂取させた際のニューロン群の発達に伴う発動パターンを数週間にわたり覚醒下にて計測する。また、視覚野の「臨界期」に重要な役割を果たすとされるBDNFの拮抗薬を投与するなどして,味覚野の「臨界期」を推定する。
著者
川嶋 太津夫 平田 光子 小方 直幸 白鳥 義彦 両角 亜紀子 山本 清 米澤 彰純 福留 東士 丸山 文裕 佐藤 郁哉 渡部 芳栄 吉川 裕美子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

大学が自立した学術経営体として環境変化に迅速かつ柔軟に変化に対応するためには、大学のガバナンスとマネジメントの改革が喫緊の課題となっている。本研究は、マネジメントの側面に注目し、国際比較を行い、主として学術面のマネジメントに従事する「学術管理職」と財務や総務といった間接部門のマネジメントに従事する「経営管理職」の相互作用の分析を行った。その結果、日本の大学に比して、海外大学では二つの経営層の一層の職位分化と専門職化が進行していること。にもかかわらず、二つの経営層が機能し、影響力を及ぼしているドメインには共通性が見られること。しかし、職能形成には大きな相違が見られることが明らかになった。
著者
山本 清龍 下村 彰男 小野 良平 熊谷 洋一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.735-738, 2000-03-30
参考文献数
12

本研究は,日本の都市住民の多くが利用してきた銭湯に関して,第一に,戦後の都市拡張の中において行われた銭湯の立地の特性について把握し,第二に,銭湯周辺の物的空間構成から人々の生活行動に関わる空間秩序を読み取ることを目的とする。研究対象として,東京都練馬区の銭湯65軒を抽出し,道の階層性および住宅の集積との関係から立地特性の分析を行い,さらに銭湯周辺の商業施設の分布および商店の業態から空間構成の分析を行った。その結果,銭湯は滞留時間の長い商業施設の中心に位置し,都市拡張のフロンティアとして街並み形成に重要な役割を果たしていたことなとが明らかとなった。
著者
藤澤 和謙 桃木 昌平 山本 清仁 小林 晃 青山 成康
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
応用力学論文集 (ISSN:13459139)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.385-394, 2006-08-25 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
3 2

Studied herein is theoretical mechanism of the failure of an embankment caused by overflowing from a reservoir. An experiment has been conducted to observe the phenomenon, and the theory of the mechanism has been developed on the basis of the erosion and the stability of the slope subjected to the erosion. Shallow water equation considering the slope angle has been used to describe the erosion, and Mohr-Coulomb failure criterion has been applied to the stability analysis. The results allow the surface profile and the erosional speed to be determined as functions of imposed parameters. At the end of this paper, we have discussed the scope of application, and examined the theory by an additional experiment.
著者
小方 直幸 山本 清 福留 東土 両角 亜希子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、高等教育政策の世論の構造と形成機能を萌芽的に解明することにあり、全省庁の政策案件のパブリック・コメントデータベースをe-GOVを基に作成した上で、文科省に考察対象を絞り、局別のパブリック・コメントの構造を明らかにした。局により案件数や公募タイプ別の案件分布が異なり、意見数についても公募タイプの相違を超えて、局別の特性の存在が析出された。他方で、意見の反映状況は、行政手続法に基づく案件に限定されてしまい、意見のまとめ方も定型的なフォーマットが存在しておらず、マクロの量的な分析から得られる知見に一定の意義はあるものの、意見反映までを見据えた考察には限界があることも、改めて明らかとなった。
著者
久保 暁子 山本 清龍 中村 和彦 下村 彰男
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.33(2019年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.181-186, 2019-11-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
9

本研究では,ストレス軽減のためデジタル機器から一定期間離れる取り組みであるデジタルデトックスの基盤的な研究を企図して,①回答者の属性とデジタル機器の使用状況,デジタル機器の依存性を把握し,それらの関係性を明らかにすること,②平日・休日の過ごし方,デジタルデトックスへの意向を把握し,デジタルデトックスの可能性を考察すること,の2点を目的とした。その結果,約半数の学生がデジタル機器を4時間以上使用し,一部の学生は機器の使用によって学生生活に問題を抱えていた。学生の意向をふまえれば,日常の機器使用制限や自然豊かな場所への外出はデジタルデトックスに有効と考えられた。
著者
大桃 敏行 秋田 喜代美 村上 祐介 勝野 正章 牧野 篤 藤村 宣之 本田 由紀 浅井 幸子 北村 友人 小玉 重夫 恒吉 僚子 小国 喜弘 李 正連 植阪 友理 市川 伸一 福留 東土 新藤 浩伸 齋藤 兆史 藤江 康彦 両角 亜希子 高橋 史子 星野 崇宏 伊藤 秀樹 山本 清 吉良 直 星野 崇宏 伊藤 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本を含めて多くの国で多様化や競争、成果に対するアカウンタビリティを重視するガバナンス改革が行われてきた。また同時に、単なる知識や技能の習得からそれらを活用する力や課題解決力、コミュニケーション能力などの育成に向けた教育の質の転換の必要性に関する議論が展開されてきた。本研究の目的はガバナンス改革と教育の質保証との関係を検討しようとするものであり、成果志向の改革では、広い能力概念に基づく教育において評価がどこまでまたどのように用いられるのかが重要な課題となってきていることなどを示した。
著者
金子 元久 矢野 眞和 小林 雅之 藤村 正司 小方 直幸 山本 清 濱中 淳子 阿曽沼 明裕 矢野 眞和 小林 雅之 濱中 淳子 小方 直幸 濱中 義隆 大多和 直樹 阿曽沼 明裕 両角 亜希子 佐藤 香 島 一則 橋本 鉱市 苑 復傑 藤墳 智一 藤原 正司 伊藤 彰浩 米澤 彰純 浦田 広朗 加藤 毅 吉川 裕美子 中村 高康 山本 清
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

本研究は、1)日本の高等教育についての基礎的なデータを大規模調査によって蓄積し、その分析をおこない、2)それをもとに各国の高等教育との比較分析を行うとともに、3)その基礎にたって、日本の高等教育の課題を明らかにすること、を目的とした。とくに大規模調査については、(1)高校生調査(高校3年生4000人を、その後5年間にわたり追跡)、(2)大学生調査(127大学、約4万8千人の大学生について学習行動を調査)、(3)社会人調査(9千事業所、2万5千人に大学教育の経験、評価を調査)、(4)大学教員調査(回答者数約5千人)、(5)大学職員調査(回答者数、約6千人)、を行い、それをデータベース化した。
著者
浅田 航太朗 山本 清龍
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.461-464, 2023-03-31 (Released:2023-05-12)
参考文献数
13

Public open space is a space that can be freely used by anyone and is becoming increasingly popular in Japan. This study categorized the spatial characteristics of public open space based on an analysis of its spatial composition elements. We also investigated how the land use of public open space has changed from the time of planning to the present. As a result, the spatial characteristics of public open space were classified into three categories: 1)the first is public open space for rest, 2)the second is public open space for long periods of rest, and 3)the third is public open space for interaction with nature. The change and the existing land use status of public open space up to the present was identified based on aerial photographs after the public open space plan were established. Furthermore, a comparison of the planned area of existing and non-existing public open space revealed that there are differences in the existing ratio depending on the location and the planning period, but not significant change in the size.
著者
山本 清龍
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.73-78, 2016 (Released:2016-11-28)
参考文献数
19

本研究では,登山者数の上限設定に対する検討が行われている富士山を事例として取り上げる。研究目的は,①登山者の属性,登山特性を把握した上で,登山者数の上限設定に対する意向を明らかにすること,②登山者の属性,登山特性,登山者数の上限設定に対する意向の関係性から,登山者数の上限設定を検討する際の論点を整理し考察すること,の2点である。その結果,富士登山者の属性は,年齢が20~40代で77%を占め,登山目的では御来光を見ることが72%,頂上まで登ることが71%で最も多かった。また,登山者数の増加が自然と文化に悪影響を及ぼすという意識は登山者数の上限設定の賛否に関係していた。
著者
山本 清
出版者
国立大学法人 東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策コース
雑誌
大学経営政策研究 (ISSN:21859701)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.217-230, 2018 (Released:2022-04-28)
参考文献数
20

Evidence- Based Policymaking( EBPM )is currently being promoted by the central government of Japan. The proponents insist that public policy should be based on hard evidence, rather than episodic nor soft measures. The development of rational decision making in the public sector originates from the principles of scientific management, PPBS, and recently NPM. Some scholars criticize this series of approaches, which have long since emerged, been trialed, implemented and failed. In this paper, we adopt a balanced approach to the proponents and critics of EBPM, from a political, economic, and social rational perspective. We propose that the educational policy governing higher education should not only drive economic growth, but must also support higher education as a democratic, cultural, and social institution. After offering a brief presentation of the character and methods of EBPM, we review the practices and lessons learned from EBPM, in leading nations such as the United States and United Kingdom. Finally, future issues for EBPM in higher education, especially in Japan, are discussed.