著者
酒井 碧 留岡 和重 瀬戸 雄介
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

Dark clasts(DCs)はCV, CO隕石に含まれる石質岩片で、ホスト隕石と似た物質が水・熱による変成を受けて形成したと考えられている。我々はAllende隕石中に特異な2つのdark clastを見出し、SEM-EDSとEPMA-WDSによる観察・分析を行った。DC中に存在するコンドリュールを交代した仮像(平均直径~0.17mm)は、ホスト部分のコンドリュール(平均直径~0.49mm)より有意に小さく、このことはDCの前駆物質がホストであるAllende隕石とは異なっていたことを示唆する。DCの周縁部及び内部には、Ca成分に富む鉱物からなる脈が存在する。この脈がホストに存在せず、DCを縦断していることから、脈はホストに取り込まれる前、DC全体が水・熱により変成・細粒化した後に形成されたと考えられる。よって、DCが経た変成過程は複数回の水質変成を含む複雑なものであったと推定される。