著者
中島 史登 酒井 馨
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.94-98, 1961
被引用文献数
7

バソフェナントロリンを用いて鉄を定量する際生ずる赤色の錯化合物について,その組成ならびに安定度について検討した.10%エタノール溶液中で発色させ連続変化法および Molland の方法にしたがって組成をしらべた結果,鉄対試薬の結合比は1:3であり,したがって錯化合物は tris-(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)-iron(II)であることが認められた.バソフェナントロリンは溶液中では一酸塩基として行動しバソフェナントロリウム・イオンを生成する.その酸解離定数を紫外部における吸収を利用して求め 10<SUP>-4.80</SUP> を得た.また錯化合物の安定度定数を求めたところ,10<SUP>21.8</SUP> であり非常に安定であることが知られた.