著者
三田村 敏男 桑野 和民 酒巻 千波 吉田 勉
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.157-164, 1991

水産練り製品中の縮合リン酸塩の使用量を知る目的で, 白身魚肉を使用したかまぼこ類やかに肉に似せた蒸し物水産練り製品 (いわゆるコピー食品), 並びに赤身魚肉を使用した練り製品 (くろぼこ類と略称) について, 総リン (TP), オルソリン酸態リン及び縮合リン酸態リン (CP) を分別定量した。比較のために, 畜産加工品のソーセージ類, チーズ類及びハンバーグ・ミートボール類についても, 同様にリンを定量し, 次の結果が得られた。<br>1) 水産練り製品及び畜産加工品とも製品によってTP並びにCPのいずれの含量もばらつきが大きかった。<br>2) 新鮮物100g中のTP量及びTPに占めるCPの比率は, それぞれ平均で次のとおりであった。<br>(a) 水産練り製品では, かまぼこ類は97mg及び37%, コピー食品は85mg及び38%, くろぼこ類は127mg及び22%であった。<br>(b) 畜産加工品では, ソーセージ類は169mg及び21%, ナチュラルチーズ類は287mg及び25%, プロセスチーズは700mg及び52%であった。また, ハンバーグ類, ミートボール類では, それぞれ102mg及び7.3%, 85mg及び8.1%であり, これらには縮合リン酸塩類が添加されている可能性が認められた。
著者
桑野 和民 酒巻 千波 三田村 敏男
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.217-220, 1989

市販緑茶 (煎茶) の地域ブランド特性を知ることにより, 消費者が緑茶を購入するさいの嗜好的な面も含めた, 価格と品質の関係を明らかにすることを目的として検討を進め, 以下の結果を得た.<BR>1) 日本茶 (緑茶) 産地知名度調査および東京地区の地域性から, 静岡, 宇治, 狭山の3地域ブランドを選び, それぞれ100gあたり500, 1,000, 1,500円の普通煎茶を茶専門小売店3店舗ずつで, 合計27試料購入した.<BR>2) 茶の入れ方研究会の標準浸出法により浸出した溶液の各種化学成分を分析, 検討した結果, 宇治茶はあっさりした味, 狭山茶は濃く, 苦く, 渋い味, 静岡茶はその中間で平均的な味であることがわかった.<BR>3) 上記の分析結果等から, 低価格の煎茶は地域ブランドとしての味の特性が少ないので, 気分的な面で地域性を楽しめばよいと考えられた.また, 高価格になるほど地域性が顕著になるので, 嗜好を十分考慮して購入する必要があると考えられた.