著者
酒巻 隆治 染矢 聡 岡本 孝司
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.59-66, 2009-03-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
39
被引用文献数
2

本論文では,Webデザインがユーザに与える印象と,記憶される情報量との関係を明らかにするため,Webアンケート調査と被験者実験(眼球運動測定,ヒアリング)を通して調べた結果について報告する.まずSD法によりWebデザインが与える印象,評価を分析した結果,「利便性」「文字の可読性」「エンターテイメント性」というWeb評価因子が抽出された.また共分散構造分析を通し,良いデザインと思われるには「利便性」「エンターテイメント性」,再利用意向を高めるには「利便性」の影響が大きいことを明らかにした.またWeb閲覧時のユーザの眼球運動測定,閲覧後のヒアリングにより,注視された情報量と記憶された情報量とは相関関係があること.また,注視された情報量は「利便性」「エンターテイメント性」,記憶された情報量は「利便性」の影響が大きいことを示した.つまり,良いデザインと思われる為にも,再利用意向を高める為にも,情報が注視される為にも,記憶に残す為にも,「次に何をすればいいか迷わない」「タイトルが見つけやすい」などユーザのメンタルモデルに即した「利便性」をWeb上にデザインすることが重要となることが明らかになった.
著者
酒巻 隆治 染矢 聡
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.87-92, 2010
参考文献数
12

前報では,Webデザインがユーザに与える印象と記憶される情報量との関係性について報告した.この分析過程において,SD法に基づくWebアンケート調査を524名に対して実施し,「利便性」「文字の可読性」「エンターテイメント性」というWeb評価因子が抽出された結果についても明記した.本報告では,前報で用いたSD法による印象評価構造の分析を拡張する多次元尺度構成法による分析を検討する.通常SD法において各ユーザの印象は多くの項目,設問,すなわち多変量として収集される.このユーザの印象を2次元に情報圧縮した際の評価形容詞群と抽出された因子との関係性,評価形容詞群とWebサイトとの関係性,についての可視化を試みた.分析の結果,提案手法が従来法に加え,さらなる印象把握に向け有効なアプローチの1つであることが示された.