著者
門 祐輔 山口 武典 橋本 洋一郎 里見 真美子
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.586-591, 1989-10-25 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12

わが国で報告の少ないocular lateropulsionの症候学的位置付けを検討し, 責任病巣について考察した.延髄外側症候群11例中, 確実なocular lateropulsionは2例, 疑診例は7例であった.共同偏視の回復過程でこの徴候を認めた症例を提示し, 共同偏視が重要な役割を果たしていることを示した.Ocular lateropulsionは共同偏視を中心とする群と, それに小脳徴候を伴う群の, 2群に分けるのが適切であると考えられた.MRIの検討により, その責任病巣は延髄背外側にあると推定されたが, なお詳細な臨床病理学的検討が必要である.