- 著者
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門 祐輔
- 出版者
- 一般社団法人 日本老年医学会
- 雑誌
- 日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.5, pp.428-430, 1997-05-25 (Released:2009-11-24)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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症例は82歳男性. 猛暑の夏に重労働をし, 下肢の浮腫, しびれ, 筋力低下, 全身倦怠感が生じ本院へ入院した. 神経学的には下肢遠位部に強い筋力低下, 感覚障害, アキレス腱反射の消失あり. 胸部レントゲンで心胸郭比の拡大, 超音波心臓検査法で左室壁運動の亢進を認めた. ビタミンB1値, 赤血球トランスケトラーゼ活性の低下を認め,「浮腫を伴う多発性神経炎」を呈する脚気と診断した. ビタミンB1の投与でこれらの症状, 所見は消失した. 本例は, われわれが調べえた限りでは最高齢の脚気患者であるが, 最近の報告例は以前に比し高齢化してきている. 脚気は若年者だけの病気と考えず, 高齢者でも多発性神経炎の鑑別診断に加える必要がある.