著者
門 祐輔 山口 武典 橋本 洋一郎 里見 真美子
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.586-591, 1989-10-25 (Released:2010-01-20)
参考文献数
12

わが国で報告の少ないocular lateropulsionの症候学的位置付けを検討し, 責任病巣について考察した.延髄外側症候群11例中, 確実なocular lateropulsionは2例, 疑診例は7例であった.共同偏視の回復過程でこの徴候を認めた症例を提示し, 共同偏視が重要な役割を果たしていることを示した.Ocular lateropulsionは共同偏視を中心とする群と, それに小脳徴候を伴う群の, 2群に分けるのが適切であると考えられた.MRIの検討により, その責任病巣は延髄背外側にあると推定されたが, なお詳細な臨床病理学的検討が必要である.
著者
門 祐輔
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.428-430, 1997-05-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

症例は82歳男性. 猛暑の夏に重労働をし, 下肢の浮腫, しびれ, 筋力低下, 全身倦怠感が生じ本院へ入院した. 神経学的には下肢遠位部に強い筋力低下, 感覚障害, アキレス腱反射の消失あり. 胸部レントゲンで心胸郭比の拡大, 超音波心臓検査法で左室壁運動の亢進を認めた. ビタミンB1値, 赤血球トランスケトラーゼ活性の低下を認め,「浮腫を伴う多発性神経炎」を呈する脚気と診断した. ビタミンB1の投与でこれらの症状, 所見は消失した. 本例は, われわれが調べえた限りでは最高齢の脚気患者であるが, 最近の報告例は以前に比し高齢化してきている. 脚気は若年者だけの病気と考えず, 高齢者でも多発性神経炎の鑑別診断に加える必要がある.