著者
重松 洋子 下田 満哉 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.768-777, 1994 (Released:2009-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
8 10

エーテル:イソペンタン(6:4)を抽出溶媒とするポラパックQカラム濃縮法により,実際に我々が紅茶を入れるのとほぼ同じ条件で紅茶の香りを抽出・濃縮し得ること,このようにして得られたにおい濃縮物は減圧連続蒸留抽出(SDE)法で得られたムレ臭と強烈な渋いにおいを呈する濃縮物とは官能的にも化学的にも大きく異なることを明らかにした.1. hexanol, hexenol, linaloolおよびgeraniolは,カラム法に比べてSDE法で数倍検出された.一方,α-terpineolおよびnerolは, SDE濃縮物でその含量が顕著に低かった.2. SDE法では,リノール酸やリノレイン酸の酸化により生ずる各種の鎖状アルデヒドおよびbenz-aldehyde含量が顕しく高かった.3. 鎖状のケトン類はSDE濃縮物で高含量を示したが, 2, 5-pyrolidinone誘導体およびβ-ionone誘導体は逆にカラム法で高含量を示した.4. 7種類のラクトン化合物は,いずれもSDE操作中に激減あるいは消滅することが明かとなった.におい濃縮法の違いにより,フレーバーインデックスは2.63(カラム法)から1.22(SDE法)に減少し,濃縮物のにおい特性に決定的な影響を及ぼすことが明らかとなった.
著者
重松 洋子 下田 満哉 吉武 清晴 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.309-315, 1991-04-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

緑茶の香気特性を解明することを目的として,評価用語に対して専門の官能検査員がもっている匂いイメージを明らかにするとともに,品質の異なる60種の緑茶の香りを専門の官能検査員により評価し,得られた官能評価結果を数量化理論第3類ならびにクラスター分析により解析した.(1) マイナス要因とされる匂い用語についてはパネリスト間にその匂いイメージに関して若干のバラツキが認められたが,プラス要因の用語についてはイメージが良好に一致していることが明らかとなった.(2) 数量化理論第3類の第1,第2軸上で“おおい香”,“返り香”が特徴的な玉露,“茶の香り”,“新鮮香”,“みる芽香”に優れた上級煎茶,マイナス要因の“こわば臭”,“木茎臭”,“むれ臭”,“いちょう香”,“青臭”,“異臭”などを含む中・下級煎茶を特徴付けることができた.(3) 全情報の80%を要約した数量化理論第3類の第1~第3軸のスコアーを用いてクラスター分析を行なった結果,供試緑茶を匂い特性に基づいて8群に分類することができた.