著者
野上 昭彦
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.306-307, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
4
著者
小松 雄樹 野上 昭彦 家田 真樹
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.57-63, 2021-06-28 (Released:2021-07-02)
参考文献数
13

左室最上部(LV summit:Left ventricular summit)は特発性心室不整脈の好発部位の一つとして知られているが,アブレーションの成功率はあまり高くない.LV summitを走行する大心静脈遠位交通枝(communicating vein at the LV summit:summit-CV)の枝に挿入した2Fr電極カテーテルで記録される心内局所電位が心室不整脈中の最早期興奮部位であり,さらに同部位でexcellent pacemapが得られるLV summit起源心室不整脈の12誘導心電図の特徴は下方軸,非特異的脚ブロックタイプ(V1誘導のR/S波比0.67±0.33),I誘導の陰性波,aVR誘導よりもaVL誘導で大きなQS波などであった.最早期興奮部位を記録する2Fr電極を標的として,2Fr電極に対して解剖学的に最も近接する部位(右室流出路,大動脈冠尖,大動脈弁直下の左室流出路,あるいは大心静脈–前室間静脈内)からアブレーションを行い,14症例中10症例(71%)において最終的に心室不整脈が抑制された.2Fr電極カテーテルを大心静脈遠位の枝に挿入することにより,従来の手法では困難であったLV summitのマッピングが可能となり,LV summitにおける正確な不整脈起源を同定することができる.心室不整脈中の最早期興奮部位の2Fr電極に解剖学的に近接する部位からのアブレーションが有用である.
著者
野上 昭彦
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.245-263, 2014 (Released:2015-07-27)
参考文献数
29
被引用文献数
1

不整脈原性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy : ARVC)は,右室の拡大と機能低下,および右室起源の心室不整脈を特徴とする心筋症である.遺伝的要因があり,心筋細胞間の接着に関与するデスモゾーム関連遺伝子や,Ca2+ハンドリング蛋白であるリアノジン受容体(RyR2)遺伝子の異常などが明らかになっている.2010年には,初期病変や保因者への診断感度を高くした新たな診断基準が示された.本疾患は若年者の突然死の原因となることもあるため,早期診断と心室不整脈および心不全に対する適切な治療が重要である.