著者
野中 美津枝
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, 2013

【目的】 現在、日本の少子高齢化は、深刻な社会問題となっている。その要因の一つとして、生涯未婚率の高さが挙げられており、2010年の国勢調査では、男性20.1%、女性10.6%に上る。平成20年中教審答申では、社会の変化に対応するため、高校家庭科では、高校生に家庭を築く大切さを学ばせることが明記され、家族や生活の営みを人の一生とのかかわりの中でとらえることができるように内容の充実が図られた。しかしながら、現代の高校生における家庭を築くことが大切と思う家庭形成意識について、十分に検討されて来たとは言い難い。そこで、本研究では、高校生に家庭形成意識に関するアンケート調査を実施して、高校生の家庭形成意識を把握するとともに、家庭形成意識を育成するための家庭科教育の内容について検討することを目的とした。【方法】 高校生の家庭形成に関する意識を把握するため、平成24年6月から7月に愛媛県のA高等学校344名、B高等学校188名の計532名にアンケートを実施した。調査項目は、1結婚、 2出産・保育、 3家庭形成意識、 4家庭科の内容の以上4点について調査し、分析した。【結果】(1)自分の結婚に関する意識をみると「自分が結婚できる」が54.5%と低く、高校生の2人に1人が結婚できないと思っている。男女差はみられず、高校生の時点で既に結婚難を意識している。(2)結婚願望は、「絶対したい」は38.2%に留まり、結婚願望がない者が13.4%で、男女に有意差はない。しかしながら、結婚したくない理由では、「仕事や学業に打ち込みたい」が女子の方が有意に高い。(3)結婚のデメリットは男女差が大きく、女子は「家事に縛られる」、男子は「責任が重い」が最も高く、ジェンダー意識が強い。(4)子育て観については、87.0%の者は子どもを望んでいるが、約1割の者は高校生の段階で将来的にも子どもを望んでいない。理由には、男女差がみられ、男子は自分の生き方を大切にし、女子は出産や育児への不安から親になる自信がなく子どもを望んでいない。(5)家庭を築くことを大切に思う家庭形成意識には男女に有意差は見られず、家庭形成意識が高い者は54.5%にとどまる。(6)家庭形成意識の高い者は自分の家庭が好きだと答えた者が大半であり、家庭形成意識の高さには、育った家庭環境が影響している。(7)家庭形成意識の高い者は、結婚願望が高く、家庭形成意識の低い者は結婚願望が低い。家庭形成意識の高い者は、結婚のメリットとして「人生の喜びや悲しみを分かち合える」が高く、自分の家庭での体験が結婚へのメリットに結びついていると考えられる。(8)「理想の子ども数3人以上」は、家庭形成意識の低い者20.8%に対して、家庭形成意識の高い者は、36.9%と高い。子どもがほしい理由として、家庭形成意識の高い者は、「子どもが好き」「夫婦間の絆を深めたい」が高く、子ども数や子育て観も家庭環境の影響が推察される。(9)家庭科の好きな内容や身につけたい力として、男子は女子に比べて、「保育」が著しく低い。特に家庭形成意識の低い男子が顕著であり、男子への保育分野の学習に対する動機づけが課題である。(10)家庭形成意識は、家庭環境による影響があることが指摘できるが、育った環境で家庭を築く大切さを体験的に感じることができにくい者にも、家庭科の授業を通して学習する機会が必要である。そのためには、「家族」「保育」を人の一生とのかかわりの中でとらえることも大切であるが、個人の問題である家庭を築くことの社会的意義を理解させることが必要と考える。
著者
野中 美津枝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.342-350, 2015 (Released:2015-07-16)
参考文献数
24
被引用文献数
1

This survey identifies the body perception and lifestyle habits of high school students from the results obtained in a questionnaire survey of 1254 such students. High school boys had a body perception which was almost in agreement with BMI. In contrast, high school girls had a body perception which was fat rather than BMI; 90.9% of normal girls desired to be thinner, and even 48.1% of thin girls. A difference was found between the boys and girls in their diet method, the boys tending to diet by exercise, while the girls applied dietary restriction. Skipping meals, lack of sleep, lack of exercise, and stress resulted in poor health. Most high school students who ate three meals every day and did not feel stress were healthy.
著者
野中 美津枝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.101-106, 2013 (Released:2014-05-31)
参考文献数
8
被引用文献数
3

This survey identifies the health conditions by dietary habits needing correction in high school students. Only 14.3% of the high school students had no dietary habits needing to be corrected. About 40% of the students had irregular mealtimes, and often had between-meal snacks and midnight snacks. A difference was found between the boys and girls in the dietary habits which should be corrected. The high school boys had such dietary habits as greasy meals and eating alone, while the high school girls tended to diet and generate leftover food. Those high school students having many dietary habits needing correction generally also had poor health.