著者
野元 裕輔 月江 友美 栗田 正 関 香奈子 鈴木 仁 山﨑 一人
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.348-351, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2 5

症例は48歳の男性.2014年7月,左腎細胞癌の根治手術受けた.5ヵ月後,Th10以下の感覚障害が出現,脊椎MRI T2強調像でC7からL1まで長軸方向に広がる髄内高信号病変を認め精査目的で入院した.症状は急速に進行し対麻痺に至った.ステロイドパルス療法は奏功しなかった.第24病日の造影MRIでTh8~9レベルに髄内腫瘤性病変を検出,腫瘤摘出術が施行され腎細胞癌脊髄内転移と診断された.術後のMRIでは髄内長軸伸展病変は消失,第112病日に軽快退院した.腎細胞癌の脊髄内単独転移は極めて稀であるが,MRI上髄内長軸伸展病変をみた場合,根治手術後であっても転移を疑う必要があると思われた.