著者
乙丸 孝之介 岩本 悠紀 洪 惠英 永井 克尚 窪田 力 山内 清哉 野地 智法
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.344-347, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
18

本研究は,黒毛和種子牛に対するベータ(β)カロテンの経口投与による糞便中の免疫グロブリン(Ig)A濃度へ及ぼす影響について検討を行った.2週齢の黒毛和種子牛22頭をランダムに2群に分け,11頭の子牛には,2週齢から4週齢まで,1日当たり20mgのβカロテンを経口投与した(投与群).一方,11頭の子牛にはβカロテンの投与は行わなかった(対照群).すべての子牛は,2週齢及び4週齢(投与2週間後)で血液及び直腸便を採取された.投与群の血清βカロテン濃度は,投与2週後において対照群と比較し有意に高値であった.また,投与2週間後において投与群の糞便中IgA濃度は,対照群と比較し有意に高値であった.これらの結果から,黒毛和種子牛に対するβカロテンの投与は子牛の消化管内におけるIgA産生を増加させる可能性がうかがえた.
著者
野地 智法 清野 宏
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.529-533, 2008 (Released:2008-12-18)
参考文献数
20

パイエル板や鼻咽頭関連リンパ組織を代表とする粘膜関連リンパ組織(MALT)には,樹状細胞やT細胞,B細胞などのすべての免疫担当細胞が集結することで,粘膜組織に侵入する病原細菌やウイルスに対する防御免疫システムを構築している.これらのMALTを覆う上皮層(follicle-associated epithelium:FAE)は特殊に分化しており,そこには外来抗原の取り込みを専門に行うM細胞が存在し,粘膜免疫システムにおける抗原門戸細胞として機能している.本稿では,このM細胞を標的としたMALTへの効果的な蛋白質送達技術を解説し,さらにはそれを基盤とした粘膜ワクチン開発に関する最近の展望を紹介する.