著者
藤井 雅和 野島 真治 金田 好和 須藤 隆一郎 田中 慎介
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.512-519, 2021 (Released:2021-09-30)
参考文献数
9

症例は75歳の女性で,貧血および右乳房腫瘤の精査目的で当院に紹介となった.右C区に約4cmの乳癌を認めたが,遠隔転移は認めなかった.骨髄穿刺は検体不適正であり,右乳房切除術+腋窩リンパ節郭清を施行した.Invasive lobular carcinoma,triple negativeであった.術後の骨髄生検で乳癌の骨髄転移と診断したため,T2,N1,M1(MAR),stage IVとなり,術後の骨シンチグラフィ検査では広範囲の骨髄転移を示唆する所見であった.治療はエピルビシン+エンドキサン®→毎週パクリタキセルを選択した.骨髄転移はDICを併発して急速な転機をとる予後不良な病態であることが多いとされ,早急な治療介入が必要と思われる.また,乳癌において貧血や血小板減少などを伴う際は,骨髄転移の可能性を考慮しておく必要がある.しかし,骨髄転移に対する化学療法のレジメンについてはまだ明確なものは示されていない.
著者
井上 隆 谷口 聡 桂 春作 榎 忠彦 野島 真治 濱野 公一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.667-670, 2003
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は5歳8ヵ月の女児.4歳4ヵ月時に強アルカリ(オルトケイ酸ナトリウム溶液)を誤飲した.その後,合併した食道狭窄に対して4歳6ヵ月時よりバルーン拡張術を合計20回施行したが拡張の継続は得られず,根治術として開腹で食道亜全摘術を施行した.食道再建は非開胸下に大彎側胃管を後縦隔経路で吊り上げ,頚部で食道胃管吻合を施行した.術後はまだ1年3ヵ月と短期間ではあるが,大きな合併症もなく一般生活も支障なく送れており,経過は良好である.