著者
山口 真理 齋藤 尚子 岡本 美代子 松田 結 西田 みゆき 野崎 真奈美
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bullentin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.16, pp.297-304, 2022

本研究は,インターネット知識検索コミュニティサイト「Yahoo!知恵袋」への投稿文から,親が子どもの性に関して持っている悩みの現状を把握し,家庭での解決方法に向けた示唆を得ることを目的とした.2013年1月から2017年12月の期間に投稿された投稿文を対象とし,「性教育」をキーワードにして検索した.その中から,子どもを持つ親が抱える「子どもの性についての悩み」に関して記載されている投稿文を抽出し,質的帰納的に分析した.分析の結果,【性に興味をもった子どもへの対応】,【親の性教育観にまつわる困難】,【家庭での性教育の進め方】の3つのカテゴリーが抽出された. 家庭での性教育に向け,父親と母親両方への参画支援や一人親世帯を含めた各家庭の考え方や役割も踏まえた子どもの性に関する知識の提供が求められる.また,市町村で実施されている一般的な子育て支援の枠組みの中で,就学前の親子の関係性を築く関わりの一つとして家庭における子どもの性に対する向き合い方を伝えていくことも重要である.さらに,親が性教育の具体的な内容に関して質問しやすい専門職との接点や親同士が語れる場や機会があることが望まれている.
著者
小山田 恭子 野崎 真奈美 中原 るり子
出版者
一般社団法人 日本看護学教育学会
雑誌
日本看護学教育学会誌 (ISSN:09167536)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2-2, pp.137-150, 2022 (Released:2022-10-31)
参考文献数
30

〔目的〕研究目的は看護系大学の新任助教の能力開発支援に特化したツールを作成し、メンタリングによる対話を基盤とした活用方法と共にその妥当性を検討することである。〔方法〕先行研究をもとにキャリア開発ラダーに基づくツール原案を作成し、学会で意見収集し修正した。その成果物の評価について7名の大学教員への面接を行い、データは質的に分析、統合した。本研究は所属大学の倫理審査委員会の承認を受け実施した。〔結果〕ツール原案に対して「能力開発支援が目的なら、ラダーよりもルーブリックが適している」等の意見が得られ、ツール原案は7カテゴリ38項目3段階の基準を持つ能力開発支援ルーブリックに修正された。内容と活用方法への賛同は得られたが、メンタリング導入には困難が予想された。〔結語〕作成した能力開発支援ツールは、新任助教の学習支援や役割移行に効果的であると考えるが、実装研究による検証と洗練が必要である。
著者
水戸 優子 小山 眞理子 片平 伸子 山口 由子 川守田 千秋 植村 由美子 野崎 真奈美 鶴田 惠子 手島 恵
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_21-3_31, 2011-09-20 (Released:2011-10-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

目的:教育と臨床の専門家が合意する看護基礎教育卒業時の看護技術の到達目標と到達度を明らかにする.方法:デルファイ法により,看護の教育者91名および看護実践者98名の専門家の協力を得て158項目の看護技術の到達目標に関する質問紙調査を3回実施した.結果:到達目標は143項目に絞られ,うち138項目は教育者・看護実践者合わせて80%以上の同意率,残り5項目も74~79%であり,ほぼ合意が得られた.それらは,到達度Ⅰ(ひとりで実施できる)が33項目,到達度Ⅱ(指導のもとで実施できる)が53項目であり,日常生活行動援助の看護技術が多く含まれた.また到達度Ⅲ(学内演習で実施できる)が20項目,到達度Ⅳ(知識としてわかる)が37項目であり診療に伴う看護技術が多く含まれた.結論:明らかになった到達目標と到達度は,看護基礎教育と継続教育のギャップを埋め,看護技術教育の充実をはかる上で有用な基礎資料になると考える.