著者
奈良 隆寛 浜野 晋一郎 野崎 秀次 田中 佳子 清水 正樹 野田 洋子 厚川 清美 有田 二郎 堀田 秀樹 前川 喜平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.261-267, 2000-05-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
2

例の急性脳炎 (60例)・脳症 (10例) のてんかんの発症について検討した.23例がてんかんに移行した.23例中18例は脳炎発症から平均7カ月間の期間をおいて (潜伏期あり) てんかんを発症した.また, 23例中5例は急性期からそのままてんかんに移行 (潜伏期なし) した症例がみられた.潜伏期を経ててんかんを発症した症例の中では, 髄液のneuron-specific enolase (NSE) 活性が高い症例はてんかんが難治で, てんかんを惹起する病理に神経組織の崩壊が関与することが示唆された.一方, 潜伏期なしでてんかんに移行した症例は急性期の発作の回数が多く, てんかんは難治性であったが, 髄液のNSE活性は正常であった.この一群は, 潜伏期を経ててんかんを発症する症例とは別の機序で, てんかん原性焦点の活動が増強されたものと考えられた.
著者
浜野 晋一郎 奈良 隆寛 野崎 秀次 福島 清美 今井 祐之 熊谷 公明 前川 喜平
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.58-64, 1991-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
20

N-isopropyl-p-I-123-iodoamphetamineによるsingle photon emission computed tomography (SPECT) を用いて25例の片麻痺の小児におけるcrossed cerebellar diaschisis (CCD) の出現について検討した.対象の25例のうち, 7例は脳性麻痺で, 18例は発症年齢10カ月から14歳の後天性脳障害である.その結果5例20%にCCDが認められた.CCDの認められた5例は7歳以後の発症で, それ以前の発症の後天性脳障害と脳性麻痺では認められなかった.Ipsilateral cerebellar diaschisisは3歳以下の発症の片麻痺の3例と脳性麻痺の2例に認められた.以上の結果から, diaschisisは3-7歳の間を境に出現の様式が異なり, 7歳以後には成人と同様のcrossed cerebellar diaschisisが認められると考えられた.