著者
豊澤 亮 野崎 要 瀬戸 貴司
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.258-261, 2018-08-20 (Released:2018-09-04)
参考文献数
19

ALK陽性肺癌は肺癌全体の約4%にみられる.ALK陽性肺癌に対する分子標的薬(ALK阻害薬)も開発が進み,第1世代であるcrizotinib,第2世代であるalectinibとceritinibが現在本邦でも使用可能である.さらに,まだ未承認の薬ではあるが,第3世代のlorlatinibとbrigatinibの効果も期待されている.これらALK阻害薬について,キーとなる試験結果を中心に解説する.また,現在の肺癌診療ガイドラインでのそれぞれの位置づけや,1次治療,2次治療をどう選択するかについて解説する.
著者
二宮 貴一朗 大熊 裕介 海老 規之 青景 圭樹 大矢 由子 阪本 智宏 上月 稔幸 野崎 要 白井 克幸 野中 哲生 里内 美弥子 石川 仁 堀田 勝幸 滝口 裕一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.95-99, 2021-04-20 (Released:2021-04-30)
参考文献数
19

遠隔転移を有する非小細胞肺癌の標準治療は薬物療法であり,局所治療の追加による生存延長効果は明確に示されていない.一方で,転移病変が限られていた場合(Oligometastatic disease)において,局所治療を行ったことにより長期予後が得られた症例が存在する.近年,Oligometastatic diseaseに対して局所治療の追加の意義を評価したランダム化比較試験が複数報告された.これらは,診断時から原発および限られた転移病変を有し,すべてに対して局所治療が可能な症例(Synchronous oligometastatic disease)を対象としており,いずれの試験でも有望な結果が示されている.有効な薬物療法(分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬など)の台頭や放射線治療技術の進歩により肺癌治療は多様化しており,局所治療の目的も変化しつつある.Oligometastatic diseaseに対する局所治療は,その侵襲性によるデメリットや薬物療法の中断に伴うリスクを考慮する必要があるが,新たな治療戦略の1つとなる可能性がある.