著者
二宮 貴一朗 大熊 裕介 海老 規之 青景 圭樹 大矢 由子 阪本 智宏 上月 稔幸 野崎 要 白井 克幸 野中 哲生 里内 美弥子 石川 仁 堀田 勝幸 滝口 裕一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.95-99, 2021-04-20 (Released:2021-04-30)
参考文献数
19

遠隔転移を有する非小細胞肺癌の標準治療は薬物療法であり,局所治療の追加による生存延長効果は明確に示されていない.一方で,転移病変が限られていた場合(Oligometastatic disease)において,局所治療を行ったことにより長期予後が得られた症例が存在する.近年,Oligometastatic diseaseに対して局所治療の追加の意義を評価したランダム化比較試験が複数報告された.これらは,診断時から原発および限られた転移病変を有し,すべてに対して局所治療が可能な症例(Synchronous oligometastatic disease)を対象としており,いずれの試験でも有望な結果が示されている.有効な薬物療法(分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬など)の台頭や放射線治療技術の進歩により肺癌治療は多様化しており,局所治療の目的も変化しつつある.Oligometastatic diseaseに対する局所治療は,その侵襲性によるデメリットや薬物療法の中断に伴うリスクを考慮する必要があるが,新たな治療戦略の1つとなる可能性がある.
著者
坂井 貴志 青景 圭樹 三好 智裕 松原 伸晃 石井 源一郎 関原 圭吾 菱田 智之 吉田 純司 坪井 正博
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.3-7, 2017-01-15 (Released:2017-01-15)
参考文献数
10

背景:縦隔原発非セミノーマ胚細胞腫瘍(non-seminomatous germ cell tumor:NSGCT)の治療は化学療法が第一選択であり,手術は通常,腫瘍マーカーが正常化した症例における残存病変に対して行われる.一方,正常化が得られない場合にも手術が施行されることがあるが,その治療成績,予後は明らかにされていない.対象:2008年8月から2013年2月までに当院で施行されたNSGCTに対する手術症例7例.結果:AFPは初診時全例で高値,化学療法後正常化せず手術に臨んだ症例は3例であった.そのうちviable cellの遺残を認めた1例で術後再発があり原病死しているが,他2例においては無再発生存が得られている.結語:縦隔原発NSGCTでは,化学療法後にAFPが正常化しなくても大幅な減少が得られれば,残存病変切除により長期生存を期待できる症例がある.