著者
伊藤 正子 舟島 なをみ 野本 百合子 鈴木 美和
出版者
日本看護教育学学会
雑誌
看護教育学研究 (ISSN:09176314)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.62-75, 2006

本研究の目的は、患者の安全保証に向け看護師が講じている対策と実践を明らかにし、その特徴を考察することである。測定用具には、日々の実践の中、看護師が患者の安全保証に向けて何を実践しているかを問う自由回答式質問からなる質問紙を用い、郵送法により全国の病院に就業する看護師1056名に質問紙を配布した。回収された質問紙622のうち、自由回答式質問に回答した588名分の記述をBerelson,B.の内容分析の手法により分析した。その結果、対象者の記述は患者の安全保証に向け看護師が講じている対策と実践38カテゴリを形成した。この38カテゴリとは、【与薬・処置・検査などを確実に行うために最適な確認方法を選択すると共に、状況に応じて複数の確認方法を組み合わせて用いる】【可能な限りクライエントと直接関わることを通して個別状況を把握し、危険が予測される場合には頻繁に訪室し要点を捉えた観察を緻密に行う】などであった。Scott, W.Aの式によるカテゴリへの分類の一致率は76.7%,72.5%,71.3%であり、カテゴリが信頼性を確保していることを示した。考察の結果は、看護師の講じている安全保証対策と実践が8つの特徴を持つことを示唆した。これらの38の対策と実践、その特徴は、安全教育の系統的な知識の提供や、安全に関する実践を自己評価できるための指標として活用可能である。