著者
野本 靖史 藤沢 武彦 山口 豊 柴 光年 馬場 雅行 門山 周文 山川 久美 斎藤 幸雄 ト部 憲和 木村 秀樹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.247-253, 1990-05-25 (Released:2016-10-01)
被引用文献数
8

中枢気道の狭窄性病変・出血性病変29例, および肺末梢病変3例に対し, 気管支ファイバースコープ下エタノール注入療法(Bronchofiberscopic Ethanol Injection=BEI)を施行し, 以下の結果を得た。(1)出血に対する止血作用は強力で, 100%有効であった。(2)気道内腔にポリープ状に突出する腫瘍に対しての気道開大効果も大きかった。(3)速効性の点ではNd : YAGレーザー照射に劣ると思われた。(4)壁外腫瘍の圧排による気道狭窄例では気道開大効果はほとんど得られなかった。(5)合併症は注入部位から漏出したエタノールにより惹起された咳嗽以外認められなかった。(6)末梢病変に対する腫瘍縮小効果は, 1例のみ認められたが, エタノール注入の方法・量など検討すべき点は多いと考えられた。(7)BEIは高価な機器を必要とせず操作も容易であり, 適応を選べば, 中枢気道の狭窄性病変・出血性病変に対する極めて有効な内視鏡下治療の一手段であると考える。
著者
及川 武史 野本 靖史 木下 孔明 平田 剛史
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.654-660, 2008-05-15
被引用文献数
3

緊張性気胸により完全気道閉塞となった気管支腫瘍を経験したので報告する.症例は30歳男性.以前より喘息を指摘されていたが咳嗽が悪化したため近医受診.胸部レントゲン写真上に異常陰影を指摘されたため,当センター呼吸器内科に紹介され入院となった.入院後の気管支鏡にてポリープ状巨大気管支腫瘍が左上区支末梢より発生し気管へ突出していることを確認し,生検を行いfibroepithelial polypと診断した.初回治療では気管に突出している部分の腫瘍のみを気管支鏡にてスネアリングおよびレーサー焼灼した.その後,追加治療を計画していたが,突然の呼吸停止を認めた.気管内挿管施行後の気管支鏡では腫瘍が気管を閉塞しており,胸部X線写真では左緊張性気胸となっていた.呼吸器外科に転科後,左上葉切除術を施行し気管支腫瘍を摘出した.現在まで約2年の経過観察を行っているが無再発生存中である.
著者
及川 武史 野本 靖史 木下 孔明
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.914-919, 2008-09-15
被引用文献数
7 8

小型肺腫瘤に対する術前CTガイド下マーキングは一般的に行われている.合併症として空気塞栓を発症し,脳塞栓や心筋虚血などを合併し死に至る可能性もある.我々はCTガイド下マーキング時に空気塞栓症を発症し,その後左半身麻痺が残存した1例を経験したので,考察を加え報告する、症例は59歳男性.胸部CTにて充実性陰影を伴うスリガラス陰影(mixed GGO)を指摘され,当センター紹介となった.3ヵ月間の経過観察で変化がなかったため,手術による精査加療のため入院となった.胸部CTでは術中触知不能と考えられる小型mixed GGOであるため,術前CTガイド下マーキングを施行した.手術当日,マーキング終了直後の咳嗽とともに意識レベルの低下,血圧低下および呼吸状態の悪化を認めた.頭部CTにて右脳血管内空気塞栓と心電図のST上昇が確認され,直ちに救命処置を行った.しかし,左半身麻痺は残存し,発症後4ヵ月の現在リハビリ中である.