- 著者
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杉山 伊吹
古島 大資
野村 優月
海野 けい子
中村 順行
山田 浩
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床薬理学会
- 雑誌
- 日本臨床薬理学会学術総会抄録集 第42回日本臨床薬理学会学術総会 (ISSN:24365580)
- 巻号頁・発行日
- pp.3-P-U-3, 2021 (Released:2021-12-17)
【目的】緑茶の主要な遊離アミノ酸であるL-テアニンが、抗ストレス作用を示すことが動物実験ならびに臨床試験で報告されている。また、テアニンに次いで緑茶に多く含まれるアルギニンとの併用摂取によって、テアニンの抗ストレス作用が増強する可能性が動物実験で示されている。しかし、ヒトに対するテアニン・アルギニン併用時の影響については明らかにされていない。そこで本研究では、ヒトにおけるテアニン及びアルギニン併用摂取のストレスへの影響を、単盲検ランダム化比較試験により検討した。【方法】静岡県立大学の健康成人120名(平均年齢22.4歳、女性62.5%)を対象とし、十分なインフォームドコンセントによる文書同意を得た後、テアニン・アルギニン併用群(テアニン100 mg・アルギニン50 mg摂取)、テアニン単独群(テアニン100 mg摂取)、プラセボ群の3群にランダムに割り付けた。対象者へのストレス負荷として内田クレペリン精神検査法を、ストレス指標として唾液中アミラーゼ活性(salivary amylase activity: sAA)を採用した。sAAをストレス負荷前、直後、5、15、30分後に測定し、sAAの経時変化やストレス負荷前後のsAAの変化量を3群間で比較した。なお本研究は、静岡県立大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】ストレス負荷前から、負荷15分後におけるsAA変化量の平均値(標準偏差)は、テアニン・アルギニン併用群で-2.75(11.2)KIU/L、テアニン単独群で-0.40(11.5)KIU/L、プラセボ群で6.95(18.6)KIU/Lであり、テアニン・アルギニン併用群とプラセボ群間(p=0.0053)およびテアニン単独群とプラセボ群間(p=0.0413)で統計学的有意差が認められた。以上のことから、テアニンとアルギニンの併用摂取は、ヒトにおいても短時間の抗ストレス作用があることが示唆された。テアニン・アルギニン併用群とテアニン単独群間でsAA変化量の統計学的有意差は認められなかったが、テアニン・アルギニン併用摂取時にsAA減少量が大きくなる傾向がみられた。【結論】テアニン単独摂取時と比較して、テアニン・アルギニンの併用摂取により抗ストレス作用が増強する可能性が示唆された。しかし本研究の被検者は20代を中心としているため、結果の一般化には幅広い年齢層を対象とした大規模臨床試験によって検討する必要がある。