著者
岡田 篤正 植村 善博 東郷 正美 竹村 恵二 吉岡 敏和 堤 浩之 梅田 康弘 尾池 和夫 松井 和夫 杉森 辰次 杉山 直紀 園田 玉紀 梅田 孝行 松村 法行 山田 浩二 古澤 明
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.93-108, 2005-06-30 (Released:2012-11-13)
参考文献数
36

The Kameoka basin is located to the west of the Kyoto basin. On the northeast side of the basin, two faults trending the northwest to southeast direction exist along the foot and the former edge of a mountain, respectively. They compose of the Kameoka fault zone with the length of about 13km (Okada&Togo ed.,2000).To elucidate such characteristics as distribution, subsurface structure and activity of those faults, we have carried out seismic reflections (P-waves) and deep drilling surveys across the faults. Volcanic ash and pollen analysis were also performed using core samples obtained by drillings. In this paper, we report the results of these surveys, especially about the characteristics of the concealed faults related to basin formation.By these surveys, three faults were detected along the three sections by the seismic reflection crossing the eastern half of the Kameoka basin, named as Fl, F2 and F3 faults from west to east. All faults incline to the northeast to form the reverse fault type uplifting to the northeast side.The Fl fault is concealed under the alluvial plain of the Katsura River and is an active fault having remarkable displacement of vertical direction to a few hundreds of meters. An accumulation of the displacement in the vertical direction is plainly recognized on the topographical and geological sections.The F2 fault appears in the wide deformation zone on the hanging. wall of Fl fault and is thought to be a subordinate fault of the F1 fault. From the distribution, the F2 fault is corresponded to be an active fault described by Okada&Togo ed. (2000) and identified at former edge of a mountain in the Kameoka basin. In this paper, we will call the Fl fault and the F2 fault as“ the Kameoka fault within the basin”. It is surely distributed about 4.6 km from the Umaji to the Hozu settlements in the southeast direction.Of the Kawarabayashi reflection profile, one reflection layer C has vertical displacement of 65m resulted from the activity of“ the Kameoka fault within the basin”. A pure seam from core samples of the layer is confirmed as so-called Oda Volcanic ash at 420-450ka. Therefore, the average slip rate of the vertical displacement is estimated at 0.15m per thousand of years or less, during the last about 430,000 years.We also found a fault scarplet (relative height 1.5-2.5m) on a low terrace. It seems to be formed by the F2 faulting since about 20,000 years ago. Hence the faulting of“ the Kameoka fault within the basin” since the late Pleistocene is certain, and also there is a possibility of the activity in the Holocene from the existence of the reverse-inclined terrace II at Umaji.Judged from distribution, the F3 fault is corresponding to "the Kameoka fault in the foot of a mountain" described by Okada&Togo ed. (2000). There is no evidence of the F3 faulting during the late Quaternary.
著者
野木森 智江美 山本 寛 野中 敬介 佐塚 まなみ 濱谷 広頌 山田 浩和
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.555-559, 2017-10-25 (Released:2017-12-07)
参考文献数
14
被引用文献数
4

症例は82歳男性である.X年3月に左下葉肺炎で入院となった.抗菌薬治療中に,右肺上葉の結節影を指摘され当科紹介受診となった.同年4月に気管支鏡検査を施行し,病理組織診断で非角化型扁平上皮癌と診断した.精査の結果,cT1bN3M1b,StageIVとなり抗癌剤投与を検討したが,高齢であることや,経過中緩徐に進行する汎血球減少を来したことから骨髄異形成症候群が疑われ,抗癌剤治療は困難と判断し外来で経過観察とした.しかしながら,同年7月のCTで右肺上葉の結節影の縮小を認め,X+1年8月に施行した全身検索でも結節は縮小していた.FDG-PET上,リンパ節や副腎の集積も著明に低下しており,全身性に癌が自然退縮したと考えられた.
著者
太田 晴久 橋本 龍一郎 金井 智恵子 山田 浩樹
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ASDと ADHDの存率は高いことが報告されおり、両障害に共通して感覚過敏が認められる。本研究ではDTIを用いて、両障害における白質繊維走行の異同および感覚過敏との関連について調査した。知的障害のない成人のASD、ADHD、健常発達成人合計約200人を対象とした。脳梁において発達障害群で健常成人群と比較して白質繊維走行の異常が認められた。それは両障害で共通した所見であり、両障害間での統計学的に有意な差異はみられなかった。発達障害群で感覚過敏の評価尺度の点数と白質繊維走行に関係する値との相関を示した部位は両障害間で共通しているところが多くみられた。
著者
大島 幹弘 中村 安孝 池田 直人 西山 博隆 小菅 和仁 山田 浩 伊藤 邦彦 松山 耐至
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.499-503, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
3
被引用文献数
4 2

Tablet-splitting is an important practice for pharmacists in hospitals and pharmacies. We investigated the variation of line tablet containing splitting score using 4 splitting methods (scissors, automatically, knife and spoon). We evaluated variation using the coefficient of variation. As a result, scissors and automatically showed small variation, but knife showed big variation. Furthermore, as individual difference using a warfarin tablet was investigated, the scissors showed small variation compared with other methods. As the splitting methods and individual difference results, the tablet scissors method was the most useful division method. We investigated the variation of line tablet non-containing splitting score using scissors and crushing tablet on/off diluting agent. As a result, crushing tablet on a diluting agent showed small variation. Using a score line tablet divided by the tablet scissors method, the non-score line tablet divided by crushing tablet on the diluting agent was small variation.
著者
畑山 大地 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-159, no.5, pp.1-11, 2023-05-09

ECC-uncorrectable メモリエラーはコンピュータシステムの信頼性に大きく影響するが,近年では発生頻度が増加している.オペレーティングシステム(OS)がこうしたメモリエラーに遭遇すると,OS カーネル内のデータが破壊されることで OS は継続稼働が不可能となり,それまでに処理をしていたメモリ上のデータを損失してしまう.この ECC-uncorrectable メモリエラーによる影響を特に受けるのがファイルシステムである.なぜなら,ファイルシステムはバッキングストアへのアクセスによる性能劣化を避けるために,ダーティなデータをバッキングストアに逐次書き出さずに,メモリをキャッシュとして用いて,ある程度纏めてから書き出す手法を採用しているからである.ファイルシステムにはジャーナリング機能を有する場合もあるが,これはファイルシステムとしての整合性を保つことが目的である.アプリケーションからすると,ファイル内容の整合性が保たれていない.そのため,ECC-uncorrectable メモリエラーが検知されるタイミングによってはメモリ上のダーティなデータは同期される前に消失してしまう.本論文では,OS カーネル領域において ECC-uncorrectable メモリエラーが発生した場合でもダーティなデータを失わないファイルシステムを提案する.ECC-uncorrectable メモリエラーの発生箇所がファイルシステムが使用するオブジェクト内ならば修復処理を行い,メモリ上のダーティなデータを同期させる.提案手法を Linux 5.15.54 上に実装を行い,ECC-uncorrectable メモリエラーを模したフォールト下で実験を行った.実験結果として,低いオーバヘッドでダーティなデータを書き出すことを確認した.
著者
谷本 陽祐 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-159, no.13, pp.1-15, 2023-05-09

オペレーティングシステム(OS)カーネルはシステムの根幹をなし,カーネルの障害はシステム全体に影響が及ぶ.一般的なモノリシックカーネルは単一のカーネル空間を持ち,あらゆるシステムコールは単一のメモリ空間を共有している.この問題点の一つとして,カーネル空間でメモリ破壊が発生した際に,カーネル全体に影響が伝播し,カーネルが未定義の動作を起こす可能性がある.しかしながら,現在も Linux や Windows など広く利用されているモノリシックカーネル OS において脆弱性の報告は跡を絶たず,バグ修正までの期間も要する.そこで本研究では,カーネルのメモリ破壊によるエラーの伝播の影響を小さくする手法を提案する.各システムコールが自身に許可されたメモリオブジェクトのみアクセスできるようアクセス制御を行い,不正なアクセスが生じた場合,ページフォルトを起こしてシステムコールの実行を停止させる.これによりカーネルのバグによる誤ったメモリアクセスが未然に阻止され,未定義の動作を防止することができる.本研究では単一のメモリ空間内の隔離(Isolation)に Intel MPK を用いて,提案手法を xv6 に実装し,そのすべてのシステムコールにアクセス制御を実現した.実験の結果,システムコールによる不正アクセスが生じたとき,ページフォルトが発生し実行を停止できた.また,xv6 のテストプログラムである usertests を実行したところ,全体の実行時間は従来の約 1.55 倍であった.
著者
根津 直也 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2022-OS-155, no.3, pp.1-12, 2022-05-19

メモリ容量の増大や,電圧の微細化などの原因によるメモリエラーの増加に伴い,ソフトウェアにメモリエラー耐性を持たせるための手法が多く提案されている.フォールトインジェクタは擬似的にメモリエラーを発生させる事ツールであり,これらの対策手法の評価・検証に有効である.既存のフォールトインジェクタの多くはメモリ上のランダムな位置にエラーを挿入するという特徴がある.たとえば,LLFI では中間コード内のランダムに選ばれた動的命令の結果に対してエラーを挿入するため,どのデータに対してエラーが挿入されるかはランダムである.このようなランダムにエラーを挿入する手法では,特定のエラーケースを意図的に再現することが難しいと言った問題点がある.本研究では,指定したメモリオブジェクトに対して直接エラーを挿入でき,特定のエラーケースを容易に再現できるフォールトインジェクタを提案する.本フォールトインジェクタは memcached を対象として,メモリオブジェクト情報の表示,指定したメモリオブジェクトへの 2 種類のエラー挿入,エラー挿入後に検証したい処理への遷移などの機能を持つ.また,既存の耐メモリエラー機構である software-based ECC に対して,作成したフォールトインジェクタを適用する事でその有効性の検証も行った.

6 0 0 0 OA 信頼と不信

著者
山田 浩之
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.59-74, 2010-06-30 (Released:2017-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本稿は,小説,映画,マンガなどに描かれる教師像を「熱血教師」を手がかりとして分析することで,教師への錯綜するまなざしを明らかにすることにある。「熱血教師」は現在のテレビドラマなどに見られる画一的な教師像であるが,これは現在も教師への信頼が強いことを示す。その一方で,メディアでは教師への批判が数多く報道されている。本稿ではこうした教師への信頼と不信の錯綜したまなざしと教師像の変化を検討した。 「熱血教師」は1960年代に石原慎太郎『青春とはなんだ』で提出された教師像であった。その特徴は,教育への情熱,教師らしさの無さ,理想的人間像の他,教師と生徒の関わりに物語の重点が置かれていること,さらに児童生徒の私的領域に押し入ってまでの問題解決であった。こうした教師像は,日本の現実の教師の行為を反映したものでもあった。 その一方で,1980年以降,マンガの中では児童生徒の私的領域に関わらない不良教師が描かれるようになった。このことは,現実の社会でも教師が児童生徒の私的領域に関われなくなったことを示している。それにもかかわらず教師には「熱血教師」として,なおも児童生徒の私的領域に関わることが求められている。 以上の議論をもとに,教師に対するまなざしを多様化し,個々の教師の多様性に着目することの重要性を指摘した。
著者
山田 浩二郎 鈴木 明人 山本 直之 須賀 啓臣 天野 尽 茅野 俊幸 杉本 一郎 速水 広樹 杉木 大輔 池上 敬一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.629-637, 2015-10-31 (Released:2015-10-31)
参考文献数
12

目的:平成25年9月2日,埼玉県東部地域に発生した竜巻への対応時に行われた県下初の消防相互応援を受けた警防本部活動を検証し,課題を抽出して,今後の実災害および訓練における進むべき方向を探る。対象と方法:地域MC協議会の承認を受け,各消防組織の活動報告書の収集・関係者へ聴取等を行い,MIMMSの考え方に基づき整理し,まとめる。結果と考察:初期対応;発災は119番通報の集中により認識され,その6分後に警防本部の立ち上げが開始された。一方,発災認識10分後には救急車両は全て出動していた。車両の不足を主因とし,37分後ブロック応援,101分後県下応援要請が行われた。情報収集;119番回線,一般加入電話は応需状態が約90分間連続し,また通報の整理に難渋した。指揮;当初被災地域の把握は,それが細長く形成されたことおよび119番通報応需時出動隊との交信が困難となり遅滞した。その後人員・資器材の充足および被災概要の把握が進み,機能した。指揮支援は発災地域の消防が起案し円滑に実施された。中規模災害時の受援消防本部を想定した訓練が不足していたことなどの課題が明らかになり,今後の施策に生かせるものと考える。
著者
中村 安孝 大島 幹弘 小菅 和仁 山田 浩 松山 耐至
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.246-250, 2012-04-10 (Released:2013-04-10)
参考文献数
12

Previously, warfarin potassium (WF) was only marketed in tablet form. When the dose needed to be prepared in a form other than tablets, it was necessary to either grind or cut the tablets. When grinding such tablets, some degree of drug loss occurred due to adherence to the grinders, mortar and pestles, and power folders. These issues were finally solved by the sale of fine-grain WF products. However, it was thought that the prothorombin time-international normalized ratio (PT-INR) might be increased in patients who changed from ground tablets to the administration of fine-grain WF. Therefore, we investigated the PT-INR of such cases while also comparing the findings in cases of patients continuously administered with WF in tablet form. The average PT-INR in patients that changed from the ground form to the administration of fine-grain WF was 1.81 (before the change) and 1.94 (after), thus showing a slight increase, but not one that was statistically significant. When the fluctuation range of PT-INR was compared with patients continuously taking WF tablets, the fluctuation ranges of PT-INR were 0.13 and 0.067, respectively, and no significant difference was observed. As a result, there is a possibility that the change to fine-grain WF may cause an increase in PT-INR, but such increase was restricted. In this study, an increase in PT-INR did not have any effect on the medical examination.
著者
岡野 節 奥戸 雄二 清水 昭信 新倉 保夫 橋本 佳明 山田 浩
雑誌
Annual review (ISSN:13429329)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.35-44, 2001-03

Faa di Brunoの公式を証明し,組み合わせ論とHermite多項式へのその応用を議論する.
著者
浅野 彰之 石田 亮 森上 裕子 大橋 朋悦 山内 裕士 山田 浩史 錦見 俊徳 小林 弘明
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.111, no.4, pp.130-133, 2020-10-20 (Released:2021-10-20)
参考文献数
9

症例は50歳,男性.尿閉を主訴に当院受診.CTでは膀胱内に直径1.7cmの円形の膀胱異物を認めたため,膀胱鏡を施行.膀胱内にガラス玉を認めた.異物が球状であり,自己挿入が可能であった事から経尿道的手術を予定した.機器は軟性膀胱鏡,異物鉗子,滅菌経腟用エコープローブカバー等を用い,異物鉗子でプローブカバーの開口部をつかんだ状態で,タモ網を使用する要領でガラス玉をプローブカバー内に入れ,そのまま牽引し用手的に摘出した.術中出血はなく良好な視野のまま摘出可能であった.術後排尿は問題なく,以後一年間の外来フォローでは再発を認めていない.
著者
安藤 沙耶 日野田 卓也 藤本 順平 山田 浩史 有薗 茂樹 菅 剛 金尾 昌太郎 石藏 礼一 小林 由典 鶴田 悟
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.106-112, 2021 (Released:2021-03-27)
参考文献数
17

ビガバトリンとはGABA(γ(gamma)-aminobutyric acid)アミノ基転移酵素を阻害し脳内GABA濃度を上昇させ抗てんかん作用を有する薬剤である.Vigabatrin-associated brain abnormalities on magnetic resonance imaging(VABAM)とは,ビガバトリン投与中に生じる頭部MRIでの異常を指し,淡蒼球や脳幹背側,歯状核,視床などにT2強調像・拡散強調像で高信号を認めるとされている.症例1は6か月女児.点頭てんかんに対しビガバトリンとACTH療法の併用にて治療中,フォローの頭部MRIにて両側歯状核,中脳被蓋,淡蒼球,中脳黒質にT2強調画像・拡散強調画像で高信号を認めた.症例2は6か月女児.結節性硬化症に伴う点頭てんかんの発症予防目的にビガバトリンを使用中,フォローの頭部MRIにて脳幹背側の中脳四丘体・前交連に拡散強調画像で高信号を認めた.症例1,2についていずれも関連すると思われる臨床症状については認めなかった.特徴的な画像所見を呈し,また薬剤減量や中止で改善することがVABAMの特徴であり文献的考察を交えて報告する.
著者
大橋 祐生 山田 浩之
出版者
岩手医科大学歯学会
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌 (ISSN:03851311)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.94-108, 2018-02-09 (Released:2018-03-11)
参考文献数
32
被引用文献数
1

口腔は消化管や呼吸器の入り口であり,様々なウイルスや細菌の侵入門戸になっているため,多くの内科的疾患の発症に深く関与している.全身疾患に関連する口腔症状は多彩で鑑別が難しい.しかしながら,われわれ歯科医師は医学的な知識を十分に養いこれらの症状に対応する必要がある.超高齢化社会の日本では,65 歳以上の人口が,2025 年には30%に達すると試算されている.本稿では,今後更に重要性を増していくものと思われる全身疾患に伴う口腔症状について概説する.
著者
山田 浩之
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.453-465, 2013-12-30

教員政策や教員養成制度の改革は教員に対する不信と批判、とくに「教員の資質低下」を前提に実施されてきた。しかし「教員の資質低下」は恣意的に用いられ、客観的資料によって十分に検証されていない。本稿では教員の不祥事の統計などにより資質低下の根拠が希薄であることを指摘する。さらに教員による養成制度や職場環境の評価を明らかにし、教育政策が教員の魅力を低下させ、それが資質の低下をもたらす可能性を検討する。
著者
金津 穂 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2018-OS-144, no.3, pp.1-6, 2018-07-23

IaaS 型のクラウドプラットフォームでは仮想化技術によって計算資源を細かに制御 ・ 分配することにより,ユーザがオンデマンドに必要最小限の計算資源を借りることができる反面,仮想マシンを借りることになるためユーザが OS の管理を行なわなければならない.PaaS 型のクラウドプラットフォームではユーザが直接アプリケーションをデプロイできるため容易にエンドユーザへサービスを提供できる反面,IaaS 型ほど細かにユーザが計算資源を制御することは不可能である.また,IaaS 型と PaaS 型のどちらにおいても,既存ソフトウェア資産の活用や普及度の問題から既存の汎用 OS が使用されるものの,特定のサービスを稼動させる目的だけを考えると汎用 OS は巨大であり,不要な機能が多い.そこで,カーネル機能をライブラリとしアプリケーションとリンクし単一のプロセス空間へ配置することで,機構を簡易化しオーバヘッドを大幅に削減することによって軽量化とパフォーマンスの向上を実現した Unikerne lが存在する.Unikernel はパフォーマンスや管理の面だけではなく仮想化環境上で直接動作するためカーネルをアプリケーションへ特化させることも容易であるというメリットがある.しかし,単一のプロセス空間で動作するためマルチプロセス機能が存在しないため,POSIX API を実装したものであっても既存のプログラムへの互換性が不十分である.そこで,マルチノードへスケールすることを前提としたマルチプロセス機構を有している Unikernel,Unikernel fork を提案する.Unikernel fork は (1) アプリケーションに応じて容易にカーネルを特化させることができる,(2) マルチプロセスに対応する,(3) 既存のプログラムを改変せず利用可能である,(4) 他ノードへアプリケーション透過的に子プロセスが配置可能である,という四点を特徴とする.本稿では Unikernel fork の実現のため,まずシングルノードで複数 VM を用いてマルチプロセスに対応する Unikernel の機構の設計 ・ 実装を示し,また,今後の課題について検討を行なった.