著者
佐藤 みゆき 野澤(竹澤) 愛美 伊藤 美和 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.25-35, 2021-10-22

発達障害者(知的障害者を含む)の運転免許教習における合理的配慮を含めた個別支援のあり方を検討するため,個に応じた支援を受けて免許取得につながった 3 事例を後方視的に分析した。その結果,視覚的な理解の促し,個室の利用や個別送迎,職員の声かけ,通所方法の変更,スケジュールの調整などの相談に応じるといった,多岐に渡る個に応じた支援の有効性が明らかになった。また教習所に求められる支援の視点として,多職種連携・地域連携とチーム支援,連携の共通言語としての教習に特化したアセスメントの重要性が示唆された。運転免許取得は,単に車を運転するため,働くためのみならず,免許そのものがもたらす本人のアイデンティティ獲得とそのプロセスによる成功体験,また様々な社会参加につながり,QOL の向上という点からも大きな意味がある。発達障害者の特性やニーズに応じた自動車学校での個別支援のさらなる検討が求められる。